日経平均で「2万1,000円が近づくと戻り売りが増える」との見方を継続

 先週の日経平均株価は、1週間で107円上昇し、2万773円となりました。大発会(1月4日)まで売り込まれた日経平均は、1月7日以降、世界株高の流れを受けて、3週連続の上昇となりました。

 ただし、先週は、売買高が細り、日経平均週足は陰線となりました。2万1,000円が近づき、上値が重くなりつつあります。

日経平均週足:2018年1月4日~2019年1月25日

 

  2018年の日経平均は、2万1,000~2万4,000円のボックス圏で推移していました。12月に、ボックスから下放れした日経平均は、1月に入ってからボックスに向かって急反発しています。2万1,000円を超えれば、元のボックスに戻ることになります。

 私は、日経平均が2万1,000円を超えて上昇するのは時期尚早と考えています。1-3月は2019年の景気悪化を織り込む最終局面になり、2~3月にかけてもう一度、日経平均が下がる局面があると考えているからです。これから出てくる景気・企業業績悪化のニュースを、株式市場はまだ完全には織り込んでいないと思います。

しかし4月以降は、上昇トレンドに戻ると予想。2020年の世界景気回復の織り込みが始まると考えています。割安な大型株ならば、もう買い始めても良いと思いますが、押し目で買い増しできる資金を残しておくべきと思います。

これから本格化する10-12月決算では、「業績下方修正」が増えると予想

 1-3月は、世界景気悪化を織り込む局面と考えています。2018年に最初に変調を来たしたのは中国でした。米中貿易戦争の影響で、設備投資に急ブレーキがかかっています。中国に工場を作って欧米に輸出するビジネスモデルが維持できるか疑問符がついたため、中国での設備投資計画を一時凍結する企業も出ています。さらにハイテク戦争の影響で、半導体・電子部品の需要も減速しています。

 米国景気は今のところ好調ですが、2019年1-3月には減速が鮮明になると考えています。米景気が減速局面に入っていることに気づくのは、1月が多いと言えます。10-12月は、クリスマス商戦があり季節的に経済活動が活発なので、景気が減速局面に入っていても気づきにくいからです。季節的に経済活動が停滞する1-3月に、景気が減速局面に入っていることに気づくことが多くなります。

 米中貿易戦争の影響が、米国企業にも出てくる見込みです。米携帯大手アップルや自動車大手フォードは、中国での不買運動が影響し、業績が悪化しています。また、2018年の大型減税効果が一巡するため、1-3月期からは米国企業の増益率が鈍化します。

 こうした環境下、これから本格化する日本企業の10-12月期決算発表では、通期(2019年3月期)業績見通しの下方修正が増えると考えられ、以下のセクターで下方修正が多いと予想されます。

【1】石油精製、石油化学、鉄鋼、非鉄などの素材セクター:原油など資源価格の下落を受け、保有する高値在庫に、在庫評価損が発生すると予想されます。

【2】中国関連株、特に機械・ロボットなど設備投資関連株:中国景気悪化の影響を受けます。

【3】半導体・電子部品:米中ハイテク戦争の影響で、中国通信大手ファーウェイや、米携帯電話大手アップル関連株に悪影響が及ぶ見込みです。

東証一部上場3月期決算、主要841社の純利益(前期比):2016年3月期実績~2019年3月期予想

出所:楽天証券経済研究所

 1-3月に今期(2019年3月期)の業績悪化を織り込み、4月以降、来期(2020年3月期)の業績回復を織り込んで上昇に転じると予想しています。

外国人投資家は、円安で日本株を買い、円高で売る

 12月の世界株安局面では、円高が進みました。円高が進むにつれ、外国人投資家による日経平均先物の売りが増え、日経平均は急落しました。1月は3日以降、円安に向かっています。円安が進むにつれ、外国人による先物買い戻しが増えています。

ドル円為替レート日足:2018年10月1日~2019年1月25日

 

 米利上げが打ち止めもなるとの見方も出ており、今後、再びドル安(円高)が進む可能性には、注意が必要です。

押し目での買い増しを狙いたい

 日本株は、PER(株価収益率)・配当利回りなどから見て割安で、長期的に良い買い場を迎えていると考えています。ただし、このまま一本調子の上昇が続くとは考えていません。押し目を待って、買い増ししていくのが良いと考えています。

 

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