今日は、米金利が、世界の株式市場に与える影響を解説します。

昨年12月4日の「逆イールド・ショック」おさらい

 昨年12月4日、NYダウ平均株価は前日比799ドル(3.1%)安の2万5,027ドルと急落しました。この日のダウ急落を引き起こしたのは、米国債の「逆イールド・ショック」でした。
逆イールドとは「利回り逆転」のことです。長い金利は、短い金利よりも高いのが普通です。時に、短い金利が長い金利よりも高くなることがあります。それが利回り逆転、逆イールドです。まずおさらいとして、昨年12月4日までの、米国の長短金利の推移を見てみましょう。

米国の10年・5年・3年・1年・3カ月金利の日次推移:2018年1月2日~12月4日  

 

 昨年12月4日、米国の5年債利回りは2.790%まで低下し、3年債利回り2.805%よりも低くなりました。5年金利が3年金利より低いわけですから、そこで逆イールドが起こったわけです。逆イールドは、先行き、金利が低下すると金融市場が織り込みはじめたことを意味し、「景気悪化の予兆」と言われます。それが米国株の売りを誘発しました。

 2018年は、0.25%の利上げが4回ありました。短期金利(3カ月)は、利上げを織り込んで一貫して上昇しました。ところが長期金利は、短期金利ほど上昇していません。10年金利は、4月に3%に達してから頭打ちです。その結果、長短金利のスプレッド(差)が縮まり、5年・3年金利の間で、12月4日にとうとう逆イールドが生じたわけです。それを嫌気して、NYダウは大きく下がりました。