4.東映アニメーション

1)海外へのアニメ配信権販売と国内外へのゲーム化版権販売が成長ドライバー

 日本のアニメ市場の動向は先週の楽天証券投資WEEKLY2019年1月4日号を参照してください。東映アニメーションの成長ドライバーは、まず、映像製作・販売事業の中の「海外映像」です(表10。アニメ配信権を海外の配信業者に販売する。北米は、フールー、ファニメーション、クランチロールなどに販売、中国はアイチーイーに販売している)。劇場アニメの興業やテレビアニメの放映による収入は期によって変動がありますが、海外映像は東映アニメーションが保有するコンテンツが海外でも愛好されているため、順調に伸びています。

 海外映像よりも収益貢献が大きいのが、「版権事業」です。東映アニメーションが権利を保有する、あるいは窓口となっているキャラクターを使ったゲーム(スマホゲーム、家庭用ゲーム)のゲーム化版権を国内、海外のゲーム会社に販売する事業です。この事業では、スマホゲーム「ドラゴンボールZドッカンバトル」の寄与が大きく、日本、北米、欧州向けはバンダイナムコホールディングスに、中国向けはテンセントに版権を提供しています。なお、「ドラゴンボール」に関する権利使用は東映アニメーションが窓口になっています。

 

2)2019年3月期上期は33%営業増益。通期は上方修正の可能性

 2019年3月期上期は売上高255億7,900万円(前年比9.1%増)、営業利益79億1,800万円(同32.8%増)と好調でした。映像製作・販売事業の中の海外映像が中国向け、北米向けに伸びたため、映像製作・販売事業の営業利益が2.5倍になりました。版権事業も、国内は「ドラゴンボールZドッカンバトル」の寄与、海外は新たに配信された「ドラゴンボールレジェンズ」や家庭用ゲームの寄与で順調でした。

 2019年3月期通期は、会社側は売上高480億円(4.4%増)、営業利益120億円(同6.5%増)と予想しています。これに対して楽天証券では、売上高500億円(前年比8.7%増)、営業利益135億円(同19.8%増)と予想します。

 まず、劇場アニメでは、2018年12月14日公開の「ドラゴンボール超 ブロリー」(製作は東映アニメーション)の出足が順調です。興行収入は、公開後11日でシリーズ最速の20億円を超えました。前作の「ドラゴンボールZ復活の「F」」(2015年公開)の興行収入は37億円だったため、今回作はこれを超える可能性があります。また、今下期も海外映像、版権事業が順調に伸びると予想されます。

 来期2020年3月期も順調と予想されます。日本製アニメの視聴者が海外で増加していると思われるため、引き続き海外映像と海外向け版権事業の伸びが期待できます。劇場アニメでは、2019年8月に「ワンピース スタンピード」が公開される予定です。楽天証券では来期業績を、売上高535億円(前年比7.0%増)、営業利益155億円(同14.8%増)と予想します。

 今後6~12カ月間の目標株価は、2020年3月期楽天証券EPS予想266.3円にPER20倍を当てはめ5,300円とします。中長期で投資妙味のある銘柄と思われます。

表8 東映アニメーションの業績

株価 4,200円(2019/1/10)
発行済み株数 40,926千株
時価総額 171,889百万円(2019/1/10)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの

表9 東映アニメーションのセグメント別業績

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成

表10 東映アニメーション:セグメント別売上高細目

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成

本レポートに掲載した銘柄:バンダイナムコホールディングス(7832)アカツキ(3932)ヒビノ(2469)東映アニメーション(4816)