マンション・ブームにはピークアウトの兆しも
バブル時(1990年)に6千万円まで上がった首都圏マンションの平均販売価格は、バブル崩壊後4千万円くらいまで下がって安定しました。4千万円は、世帯年収8百万円の家庭にとって年収の5倍で、買いやすい価格と言われています。そこで、販売価格は下げ止まりました。
その後、不動産ミニバブルと言われた2007年に、販売価格は一時5千万円に近づきましたが、そこで需要が急速に細って、マンション・ブームは終わりました。マンション価格は4千万円台でないと、需要がついてこないと言われました。
ところが、2013年からのブームで、販売価格はみるみる上昇し、5千万を超えて、6千万円に達しています。マンション価格が高くなりすぎたので、これから需要が縮小する兆しが出ています。
今回のブームを牽引した要因は3つあります。
① 日銀による異次元金融緩和でローン金利がどんどん低下。銀行の融資姿勢が緩和
② 2017年の相続税増税で、相続税対策のアパート建設やマンション投資が増加
③ 景気好調で、需要も拡大
ただし、今は状況が変わってきています。
① 低金利で苦しむ銀行が、ローン残高を拡大するために不正を働く事例が表面化
② 相続税対策の貸家建設はピークアウト。貸家に過剰感
③ 世界景気に減速懸念
マンションを買うか、賃貸で済ますかは、買い手の個別事情によって決めるべき
バブル(1990年)よりも前の時代は、不動産を早く買えば買うほど、得した時代でした。借金を負って若いうちに住宅を買った人は、その後、大幅な値上がりで豊かになりました。
ところが、バブル崩壊後は一転して不動産価格が急落。ローンを組んで無理して住宅を買った人は、苦労しました。
これからは、どうなるでしょう? これからも不動産市況が上昇したり、下落したりすることは、あるでしょう。ただし、1990年に経験したような異常なバブルやバブル崩壊は、当分、起こらないと考えています。
そう考えると、持ち家を買うか、一生賃貸で済ませるかは、買い手の人生事情によって決めるべきと言えます。持ち家のある主なメリットとデメリットを、以下に挙げますので、自分でどちらが大きいか考えてください。
賃貸に住むメリット
・借金(住宅ローン)返済の重荷がない
・不動産所有のコスト(固定資産税・火災保険料・メンテナンス費・経年劣化)がない
・不動産所有のリスク(天災・環境問題・風評被害による損失)がない
・仕事で転居が必要になっても、困らない
自家所有のメリット
・賃料を支払わないで良い(ローンを完済すれば住宅を手に入れられる)
・自分の好みやライフスタイルの変化に合わせた改築や改装が自由
・高年齢になって収入がなくなっても住むところがあれば困らない(高年齢になると賃貸を断られることもある)
住宅購入は結婚と同じくらい大切な選択、急いで決めるべきではない
どんな住宅が自分にとって一番良いのか、住んでみないとわからないことはたくさんあります。購入を検討しているとき、あんなに素晴らしく見えたマンションが、住んでみたら問題だらけだったということもあります。もちろん、その逆もあります。
結婚前にあんなに素敵に見えた人が、一緒に生活したらそうでもなかった、と同じかと思います。
不動産の真の価値は、現場に行かないとわかりません。その物件だけでなく、周囲もしっかり見ましょう。実際に生活してみたらどうなるか、重要事項を列挙して近所を歩き回り、1つ1つ検討しましょう。インターネットでも近所の情報はたくさん見られると思いますが、ネットではわからない情報が現場にはあふれています。たとえば、小さい子供をつれて安心して歩ける環境か、実際に歩いてみればわかります。
春に物件を見る人が多いが、冬になって太陽が低くなったら、日当たりがどう変わるか考えましょう。昼間に物件を見る人が多いが、夜、どうなるかも考えましょう。たとえば、夜の騒音は許容範囲ですか? 治安はどうですか?
どんなに現場をしっかり見ても、わからないことはたくさんあります。理想的には、購入を検討する物件に、1年くらい賃貸で入れると最高です。でも、そんなに都合のいいことは、めったにありません。近くの賃貸に入って考えるという手もあります。
賃貸で何年も住んでいるうちに、大家さんから、物件を購入しないか打診されることもあります。知り尽くした物件ですから、買ってもいいと思えるか、判断しやすいと思います。それくらい物件の良いところも悪いところも知り尽くしてから、不動産購入を決めるべきと思います。
ところが、不動産のセールスには、購入を急がせるトークが、たくさん盛り込まれます。「消費税引き上げ前が有利」「申し込み殺到で明日には売り切れかも」「今日ここで決めれば、こんな特典があるが、明日には出せない」などなど・・・。くれぐれも、あわてて購入の決断をしないようにしましょう。
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