景気敏感株にも分散投資。ディープ・バリュー景気敏感株とは?

 私は、来年、世界景気が減速すると考えていますが、景気停滞で済むか、景気後退まで行くか、現時点でよく分かりません。もし景気停滞で済むならば、株価指標で見てとても割安なところまで売り込まれている景気敏感株は、買っていって良いと思います。

 来年の景気についてリスクはありますが、景気停滞で済む可能性もあるので、ディープ・バリュー景気敏感株にも、分散投資した方が良いと思います。

 以下に、筆者が、景気敏感ディープ・バリュー株の候補と考える銘柄を挙げます。

景気敏感ディープ・バリュー株の候補

コード 銘柄名 業態 株価
:円
配当
利回り
:%
PER
:倍
PBR
:倍
3436 SUMCO 半導体材料 1,412.0 4.2 7 1.5
5301 東海カーボン 黒鉛電極 1,430.0 1.7 4 1.7
5108 ブリヂストン タイヤ 4,560.0 3.5 11 1.4
7267 本田技研工業 自動車 3,082.0 3.6 8 0.6
8058 三菱商事 総合商社 3,126.0 4.0 11 0.9
8031 三井物産 総合商社 1,726.0 4.6 7 0.7
出所:楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは、1株当たりの年間配当金(会社予想)を12月12日の株価で割って計算。PERは、12月12日株価を、今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出

 世界景気の減速が予測される中、景気敏感株に投資するのは当然リスクがあります。短期的な景気予測に賭けるのではなく、中長期(景気1サイクル:3~4年)投資の候補銘柄を考えた方が良いと思います。

 以下、上記銘柄を簡単にコメントします。

◆SUMCO

 半導体シリコンウエハで世界シェア高い。半導体メモリの需給が緩和して、半導体ブームがピークアウトしつつありますが、シリコンウエハの需給逼迫は続いており、SUMCOの業績は好調が続くと見ています。半導体関連株が軒並み大きく下がる中、株価指標から見て割安になったSUMCOに投資妙味を感じます。

◆東海カーボン

 黒鉛電極で世界シェア高い。黒鉛電極の供給不足が深刻で市況が上昇、その恩恵で利益が拡大。株価が伸び悩んでいるので、PERは4倍まで低下。黒鉛電極は、電気炉で鉄スクラップを溶融して鉄鋼製品を作るのに使う中核素材。中国が国策として、電炉拡大をはかっているため、需要が急拡大しています。中国の国策が変更されるリスクはあるが、国策が変更されなければ、需給逼迫は2~3年以上続くと考えられます。

◆ブリヂストン

 自動車タイヤで世界トップ。米国で高いブランド力。補修タイヤが高収益で、トヨタより利益率が高く、世界景気変動の影響を、トヨタほど受けないと考えられます。米国での現地生産比率が高く、貿易戦争のターゲットとなるリスクが相対的に低いと考えています。

◆本田技研工業

 世界景気減速が予測される中、貿易戦争に巻き込まれるリスクもある自動車株に今投資するリスクは高いと思います。ただし、株価指標で見て、とても割安になっているので、少し投資しても良いと考えています。東南アジアなど新興国では二輪車を生活にも仕事にもフル活用していますが、そこで、本田が高いブランド力があり、安定的に収益を稼いでいることは、評価できます。

◆三菱商事、三井物産

 両社とも、資源事業の比率が高いことで知られていますが、最近、原油が急落したため、株価が下落しました。両社とも、近年は非資源事業を拡大することで、最高益を更新してきています。株価指標で見て、とても割安となっているので、投資していって良いと考えています。

 

 

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