今日は、2019年の日本株見通しの概略をお伝えします。

2019年前半は「世界景気減速を織り込む局面」と判断

 株式市場では、早くも2019年の世界景気がどうなるか、織り込む動きが始まっています。経験則では株は、景気循環よりも半年から1年先に動きます。ということは今の日経平均は、2019年の半ばから終わりごろの景気を織り込んで動いていると考えられます。

 2017年から18年の途中まで、世界まるごと好景気と言っていいくらいの好調が続きました。ところが、足元、急速に世界景気が減速する兆しが増えています。2019年の世界景気は減速が避けられないと見ています。

 最初に変調を来たしたのが中国でした。貿易戦争の影響で設備投資に急ブレーキがかかっています。中国に工場を作って欧米に輸出するビジネスモデルが維持できるか、疑問符がついたため、設備投資計画の見直しが増えています。

 米国景気は今のところ好調ですが、2019年には減速する可能性があります。米景気が減速局面に入っていることに気づくのは経験則では1月が多いと言えます。10~12月期はクリスマス商戦があり季節的に経済活動が活発なので、景気が減速局面に入っていても気づきにくいからです。季節的に経済活動が停滞する1~3月に、景気減速に気づくことが多くなります。

 

ポートフォリオのディフェンシブ性を高める

 さて、こんな時、日本株への投資はどうしたら良いでしょうか。私は25年間、日本株のファンドマネージャーをやってきましたが、相場は「予想するものではなく、ついていくもの」と割り切っていました。今のようなムードの時は、警戒の気持ちを持ちつつ、ポートフォリオのリスクを少しずつ落とす戦略をとっていました。

「株が下がる」と決めつけて株を売り払ってしまうと、早めに反発局面に入ったときに取り返しがつかなくなります。かと言って「株は割安で、これ以上、下がらない」と決めつけて、目いっぱいのリスクを取ることもできません。

 まず景気敏感セクターの組み入れを下げて、ディフェンシブ・セクターの組み入れを増やした方が良いと思います。ディフェンシブとは「為替(円高)や世界景気変動の影響を受けにくい」という意味です。以下の表で、上に行くほど、景気敏感度が高い業種が多く、下に行くほど、ディフェンシブな業種が多くなっています。

業種分類別の景気敏感度

出所:景気後退期・拡大期の認定は内閣府、景気停滞期の判断は楽天証券

 業種(大分類)でいうと、IT・消費サービス、および、内需・公共セクターがディフェンシブに含まれます。一方、素材・市況、および、輸出・加工セクターは景気敏感に含まれます。金融セクターはその中間と位置づけていました。

 私が運用していたファンドの大部分が、TOPIX(東証株価指数)をベンチマーク(競争相手)とするアクティブ運用ファンドでした。日本株が上がるときも下がるときも、TOPIXを上回るリターンを目指していました。

 景気・企業業績が好調で日経平均が上昇していく局面で景気敏感株を多く持ち、景気・企業業績が悪化して日経平均が下落する局面でディフェンシブ株を多く持つことで、TOPIXを上回るパフォーマンスをあげる確率が高くなります。