1. 国内債券の期待リターン

 公的年金のアセットアロケーションの作成プロセスで一番興味深いのは、少し意地が悪いかもしれないが「国内債券」の期待リターンだ。

 これを、(1)現状で得られる債券利回りに従って「ほぼ0%」と見るのか、(2)「20年」といった運用計画期間を想定して1〜2%程度の現状よりも高い長期平均利回りを想定するのか、(3)政府が目指すデフレ脱却が上手く行った場合の債券利回り上昇(価格は下落)を予想してマイナス利回りを期待リターンとするのか、いずれであるかが大変興味深い。

 現時点での筆者の意見を言うと、運用方針を将来20年間の平均で考えるような想定はいかに公的年金の資金が大きいとはいえ「明らかに間違っている」ので、(2)は却下されるべきだ。(1)と(3)のいずれか、あるいはその間を取るのが現実的だが、加減が難しい。

 運用計画期間の想定、政府の経済見通しに対する態度などにより答えは変わる。さて各々の基金はどう考え、どう説明するのか興味深い。

 なお、個人投資家の大半は、ポートフォリオを低コストで素早く動かすことが可能なので、1年程度の計画期間のもと、ほぼ(1)を前提として考えていいだろう。