7つのポイント

 公的年金の「基本ポートフォリオ」は、現在「国内債券35%、国内株式25%、外国株式25%、外国債券15%」でいずれの運用主体も共通だ。個々の運用主体が個別に検討したのではあるが、結果的に、最大の運用主体であるGPIFの基本ポートフォリオと共通のものを使うことになった。

 今回の基本ポートフォリオ見直しにおいても、結果的に共通の基本ポートフォリオに落ち着く可能性はある。

 しかし、筆者としては、GPIF、KKR(通称、国家公務員共済組合連合会と呼ばれ、筆者はこの連合会の運用委員会の委員を務めている)、地方公務員共済組合連合会、私立学校共済組合など、個々の運用主体がどのような理屈・前提条件・計算からアセットアロケーションを作ったのかを個別にながめてみて欲しいと考える。方針が決定されると、それぞれの運用主体のウェブサイトに「中期運用計画」のようなタイトルで、検討のプロセスと、基本方針を説明した書類が掲載されるはずだ。

 こうした書類を読み込んで、その内容の適否を徹底的に考えると、個人投資家もアセットアロケーションで何がポイントなのかが分かってくるだろう。いささか厳しい言い方になるが、このような思考を通じてでしか真に自分で納得できるアセットアロケーションを作ることはできない。プロセスを理解できなければ、結局「誰か」が言うことを「信じる」しかなくなるが、これではつまらないと思う投資家も少なくない。

アセットアロケーションで何がポイントなのかを考えるためには、プロ(正確には、基金の運用担当者、年金コンサルタント、委員会の委員である有識者)の作成プロセスはいい材料となる。

 もちろん、プラス面で参考になる知識やデータもあるし、おそらく「これは真似しないほうがいい」という反面教師的な要素もあるだろう。

 以下、公的年金のアセットアロケーション策定を検討する上でのポイントを7つ紹介しよう。