東証上場の「インフラ投資関連銘柄」の業績

 2019年に米国の実質経済成長率がやや減速するとみられる中、「インフラ整備」は国土安全(防災・減災)の大義だけでなく、雇用増加に寄与するため有権者にアピールしやすい施策です。具体的な政策が前進すれば、米国のインフラ関連企業だけでなく、日本の関連企業の収益拡大期待につながりそうです。

 そこで東証上場のインフラ関連銘柄の中で、北米で事業展開している関連7銘柄を一覧しました(図表3)。

 例えば、建設機械大手の小松製作所や日立建機は、中間決算や業績見通し発表前後に「中国の需要減速」を不安視して株価は下落しました。

 7銘柄の平均予想PER(株価収益率)は約10.2倍と、市場平均(TOPIX[東証株価指数]=12.8倍)より低位で推移しています。米国でインフラ需要拡大期待が強まると、関連銘柄として注目度が回復する可能性があります。

 こうした銘柄群には、商品面やサービス面で高い国際競争力を持つ企業が多く含まれ、外国人投資家の注目度も回復していくと考えられます。国内でも安倍政権は、12日に開催した経済財政諮問会議で「防災や減災に向けたインフラ整備について民間企業を積極的に活用して進めたい」との方針を確認しました。新年(2019年)の主要テーマとして「インフラ関連銘柄」に注目したいと思います。

図表3:「インフラ関連銘柄」の参考例

# コード 銘柄 事業 時価総額 年初来騰落率 PER
1 4063 信越化学工業 建築素材向け塩化ビニール 41,482 -15.3 13.7
2 8031 三井物産 総合商社で北米事業強化 31,171 -2.3 6.9
3 6301 小松製作所 建設機械の製造大手 28,385 -28.4 10.7
4 5713 住友金属鉱山 銅、ニッケル等の非鉄 9,632 -36.0 9.3
5 6305 日立建機 建設機械の製造大手 6,572 -25.4 9.9
6 5233 太平洋セメント 道路建設用セメント 4,660 -24.2 10.7
7 6432 竹内製作所 ミニショベル最大手 1,120 -14.6 9.9
7銘柄平均 -20.9 10.2
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年11月14日)
注:上記は参考情報であり、特定の銘柄を推奨する目的のものではありません。
単位は、時価総額は億円、年初来騰落率は%、PERは倍。PERは今期予想で今期予想EPS(1株当たり利益/市場予想平均)に基づいたもの。

 

 

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