波乱相場で日経平均の割安感が鮮明に

 今週の日米株式は、波乱含みの展開となりました。

 貿易摩擦や内外の景気見通しに懸念が広まる中、11月12日の米国市場で新型iPhoneの販売不振観測を背景とする「アップル・ショック」に、マレーシア前政権の投資会社を巡る不正疑惑「ゴールドマン・サックス・ショック」が重なり、NYダウ平均株価は602ドル安と大幅下落。11月13日の東京市場でも、リスク回避姿勢を受けた先物売り主導で、日経平均株価も大幅下落しました。

 神経質な地合いは目先続く可能性はありますが、相場を下支える材料もあります。

 例えば、(1)米商務省と協議した結果、トランプ大統領は自動車の輸入関税導入をいったん見送る見通し、(2)クドローNEC(米国家経済会議)委員長は「(月末のG20に向け)米中両国は貿易に関してあらゆるレベルで接触を再開した」と発言し、李克強(リー・クーチアン)中国首相も「米国側と交渉する意思がある」と応じた、(3)原油相場の下落基調はコスト低減効果を介して製造業の利益率を改善させやすいとの見方です。

 中間決算では、中国の設備投資ブーム一巡が、一部企業の業績見通しを押し下げました。

 とは言っても、国内の業況感は総じて底堅く、日経平均ベースの予想EPS(1株当たり利益)は1,770円程度に上方修正されています。

 図表1で見る通り、想定PER(株価収益率)別株価レンジ(予想EPS×想定PER)で見ると、日経平均の予想PERは株価の下落で、約12.3倍まで低下(11月14日)。業績見通しを考慮した「割安感」が否めない状況となっています。

図表1:底堅い業績見通しで日経平均に割安感

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(11月14日)