株主優待が魅力的なJR4社

 JR4社は、運賃や料金の割引券などを株主優待品として、3月末の株主に贈呈しています。新幹線などを利用することの多い個人投資家に好評です。株主優待が魅力的な安定成長株として、長期投資していく価値が高いと考えています。

 安定成長株ではあっても、毎年の成長率は高くないので、株式市場で熱狂的に買われることはあまりありません。その分、株価はPER(株価収益率)で見て、やや割安に据え置かれていると考えています。

JR4社の株価バリュエーション:2018年11月14日

コード 銘柄 株価 配当利回り PER 最少投資金額
9020 JR東日本 10,025 1.5% 13.2 1,002,500
9022 JR東海 21,580 0.6% 10.3 2,158,000
9021 JR西日本 7,818 2.2% 15.8 781,800
9142 JR九州 3,480 2.4% 11.7 348,000
出所:楽天証券経済研究所が作成。株価は、2018年11月14日現在。配当利回りは、今期の1株当たり配当金(会社予想)を11月14日終値で割って算出。PERは、11月14日終値を今期の1株当たり利益(会社予想)で割って算出。単位は倍。

JR以外の私鉄各社も、インバウンド需要拡大が追い風

 私鉄各社は、1980年代に競ってリゾート開発に進出したものの、いずれも1990年代のバブル崩壊で失敗に終わりました。ところが、そのリゾート路線が今、インバウンド需要の拡大を受けて、収益拡大に寄与するようになりました。

 日光、鬼怒川リゾート、東京スカイツリーなどの観光資源を持つ東武鉄道(9001)がその恩恵を受けています。また、東京・赤坂の旧赤坂プリンスの再開発を成功させた西武HLDG(9024)も、インバウンド需要拡大の追い風に乗ります。京成電鉄(9009)は、成田空港と都心を結ぶ特急の利用拡大で収益を伸ばしています。

 複々線工事を完了させ、輸送能力を拡大する小田急電鉄(9007)は、競合路線に対し、競争力が向上します。箱根へのアジアからの観光客誘致も、成果をあげつつあります。
近鉄グループHLDG(9041)は、あべのハルカス(大阪市阿倍野区にある日本でもっとも高い摩天楼)、奈良、伊勢志摩、熊野三山などの観光資源を持ち、「青の交響曲」などの高級観光列車が好調です。

 ただし、JR以外の私鉄は新幹線を持たないため、成長余地は限られます。投資価値は、JR4社の方が高いと判断しています。

 

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