乱高下する原油価格が世界景気に大きな影響

 世界景気の大きな流れに、原油価格の変動が影響しています。過去の世界的な景気変動を、原油価格の動きに関連させて振り返ります。

WTI原油先物(期近)価格の月次推移:2000年1月~2018年11月(12日まで)

 

【1】2008年リーマンショック

 2008年に起こったリーマンショックは「金融危機」と言われます。「米国で住宅ローン(サブプライムローン)の不良債権化をきっかけに起こった金融危機が世界に波及、世界的な景気後退につながった」と説明されます。

 私は、リーマンショックを起こした要因は2つあると考えています。1つは、米国発の金融危機。もう1つは、資源価格急騰です。資源急騰による高インフレが世界の消費を押しつぶしたと考えています。

 2008年前半は、世界的にインフレ高進が話題になりました。中国の消費者物価指数は一時、前年比8.5%上昇しました。新興国では軒並みインフレ率が10%を超えていました。一部で「ハイパーインフレ懸念」という言葉も出ていました。日本ですら、一時消費者物価指数の上昇率が2%に達しました。2008年4~6月は、ガソリン価格の急騰によって、日本の道路から自動車が大幅に減少しました。リーマンショック直前には、インフレによって、消費が押しつぶされる兆しが出ていたわけです。

 

【2】2015年末~2016年初頭、逆オイルショック

 2015年末には、世界同時に景気が悪化しました。原油価格が急激に下がりすぎたことに伴い「逆オイルショック」が起こり、米国も中国も含め、世界的に景気が悪化しました。この時、日本も景気停滞に陥りました。

 

【3】2016年後半から2017年、世界まるごと好景気

 原油価格がゆるやかに反発する中で、世界同時に景気が回復しました。先進国景気は、原油安の恩恵を受けて、好調に推移しました。資源国の景気も持ち直しました。

 2019年は、原油安メリットによる世界景気の押し上げ効果が一巡し、世界景気に停滞色が出る可能性があると考えています。