1.日本のメルカリの成長は続く

a.ユーザー数の増加

 日本のメルカリは堅調です。MAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー。1カ月に1回以上「メルカリ」を利用した登録ユーザー)は2018年6月期4Q(4-6月期)時点で1,075万人となりました。今後も、40代以降の潜在的ユーザーの取り込みと、メルペイサービスの始動により、MAUは拡大していくでしょう。

 ペイメントサービスを展開する予定のメルペイは、メルカリの既存ユーザーの復活や使用頻度を高めると考えられます。現在は、メルカリで売れたアイテムの売上金は振込みか(1万円以下の場合は手数料が発生)、メルカリ内で使えるポイントへの交換かを選ぶ必要があります。しかし、メルペイができれば、メルカリの売上金をメルペイ内に保管し、メルペイ加盟店で売上金を使う道が拓かれます。この利便性の向上が、メルカリ内の売買の活性化につながると考えられます。

日本のメルカリのMAU推移 

出所:会社資料より楽天証券作成
予想:楽天証券

b.単価の上昇

 ユーザーあたりの単価上昇も期待できます。「メルカリ」では売り手、買い手を評価する仕組みがありますが、高評価が集まるほど信頼が得られるため、高価格のアイテムを売買しやすくなります。この理由で単価は上昇傾向にありますが、今後は、高単価カテゴリー向けに投入するUI(ユーザーインターフェース)も単価上昇に寄与するとみられます。

日本のメルカリの単価推移

注:四半期別売上高を、当該四半期のMAUで除して算出
注:2018年6月期3Q以降はクーポン利用額が売上高から控除されているが、その控除分を推計し四半期売上高に加算している
出所:会社資料より楽天証券作成

 価格帯や売買カテゴリーに合わせてUIを構築することにより、高単価カテゴリーの売買が促進される見込みです。高単価カテゴリーとしては乗用車や自動車用パーツなどが挙げられます。消費者は高単価のものほど購入に慎重になりますが、画像数を追加し、品質に対する細かいデータがひと目で分かるようになれば購入を考えるユーザーも増えるでしょう。

c.増収に伴う利益拡大

 売上高の増加に伴い、営業利益も大幅に拡大する見込みです。2019年6月期に関しては増収効果に加え、前期に発生した上場費用の負担などが軽減されることから、営業利益は約2倍拡大すると予想します。