ヤオコー、ベルク、オイシックス・ラ・大地に特に注目

 食品スーパーでは、5月31日「優待だけじゃない!イオン、ヤオコー、ベルク…スーパーストア業界に変化の兆し」で詳しく述べているヤオコー(8279)ベルク(9974)に期待しています。両社は相対的に消費環境が有利な地域を基盤にしていることに加え、独自の付加価値を消費者に提供しています。両社の月次はしっかりと推移しており、来期にかけても、自宅における飲食需要をしっかり刈り取ることができるでしょう。

<ヤオコーの販売は堅調に推移>
ヤオコーの既存店売上高と客数の推移(前年同月比)(期間:2017年4月~2018年8月)

出所:会社資料より楽天証券作成

 

ヤオコーの業績推移

出所:会社資料より楽天証券作成
予想はIFISベース

 

ヤオコーの株価推移(9月14日まで)

出所:楽天証券ホームページ

 

<ベルクの販売は堅調に推移>
ベルクの既存店売上高と客数の推移(前年同月比)(期間:2017年4月~2018年8月)

出所:会社資料より楽天証券作成

 

ベルクの業績推移

出所:会社資料より楽天証券作成
予想はIFISベース

 

ベルクの株価推移(9月14日まで)

出所:楽天証券ホームページ

 

 フードデリバリーの分野では、オイシックス・ラ・大地(3182)に注目しています。同社は「Oisix」ブランドで、安全に配慮したこだわりのある青果物をネット販売しており、その会員数は増加傾向にあります。

 2019年3月期1Qの会員数は前年同期比22.0%増の179,942人に拡大しました。ARPU(※)は同2.3%減の1万1,562円となりましたが、会員数の増加で相殺できています。

※ARPU:Average Revenue Per User (会員一人当たりの月間売上高)
=定期会員の購入頻度×購入単価/回

<「Oisix」の会員数は増加傾向>
第1四半期における会員数とARPUの推移

出所:会社資料より楽天証券作成

 

「Oisix」が提供する食材はスーパーで購入する場合と比べて安いわけではありませんが、食材にこだわりのある消費者のニーズを掴んでいるほか、共働き世帯を中心にミールキットが支持されています。ミールキットは、カット済みの野菜と調味料のセットで、20分で主菜と副菜が作れる点が特徴です。

 手軽に食事を取るニーズは高まっていると考えられます。近年、日本の家計は支出を抑制し節約に努めてきました。勤労者世帯の平均消費性向は低下傾向にあります(詳細は5月17日「30年前を下回った実質賃金。節約ムードでも国内で最高益を叩き出す小売業のなぜ?」)。ただし、消費支出に占める外食および調理食品の比率は、どの年代でも上昇傾向にあります。日本の消費者は手軽さや時間の効率化に価値を見出していると考えられ、この需要をミールキットが取り込んでいるとみられます。

 同社は競合であった「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」を傘下に収め、足元ではこの2社のブランド力を強化、育成しています。「Oisix」で培ったマーケティング力、商品力を活かすことにより、2社は連結業績の拡大に寄与していくでしょう。「大地を守る会」では、商品カタログのページを、ターゲットに合わせて落ち着いたデザインに変更。「らでぃっしゅぼーや」は収益性が懸念材料でしたが、2019年3月期1Qは黒字となりました。

<2019年3月期1Qのセグメント別業績推移>

出所:会社資料より楽天証券作成

 

<オイシックス・ラ・大地の業績推移>

出所:会社資料より楽天証券作成
予想はIFISベース

 

オイシックス・ラ・大地の株価推移(9月14日まで)

出所:楽天証券ホームページ