8月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

「明けない夜はない」といったところでしょうか。ようやく、8月は東証マザーズ指数が月間でプラスとなりました。今年の2月~7月まで、マザーズ指数は実に6カ月連続で下落。これは、算出開始(2003年)以来で初のことでした。

 とはいえ、指数が上昇に転じたのは月の後半から。底入れした8月16日ザラ場安値932.07ポイントが今のところ年初来安値ですが、本当に地合いは悪かった…。月後半からリバウンドに転じましたが、正直、ファンダメンタルズ的な理由は一切なかったように思います。需給主導で戻しただけ。

 では、「月前半の安値を形成する局面が、需給主導で下げただけだったか?」というと、そうでもありません。一部では、日本の個人投資家がトルコリラの急落で大きな損失を負い、その影響がマザーズに来ているといった、それらしい解説も見られました。ですが、マザーズ株のプレーヤーと、トルコリラ円ロングでスワップポイントを狙うプレーヤーが重複するとは到底思えません。

 マザーズ以外の外的要因のせいではなく、マザーズの内的要因のせいでしょう。前月コラム中(8月に注目したい新興株の動き)でも指摘しましたが、鬼門である決算発表シーズン…今回の決算発表はかなり悪かったといえます(後述します)。

  月後半のリバウンド局面については、需給を好転させた理由に任天堂株を挙げるほうが適切でしょう。日本の株で、個人投資家の信用買い残が最も多いのが任天堂で、塩漬け株が最も多かった株でもあったはず。その任天堂が月間で+9.24%の大幅高となり、個人投資家の安堵感が新興株にも広がったというほうが可能性は高そう。

 指数別の8月の月間騰落率は、日経平均株価が+1.38%、TOPIX(東証株価指数)が▲1.02%、日経ジャスダック平均が+0.07%、東証マザーズ指数が+0.94%。ちなみに、8月より月間フルでマザーズ指数に寄与したメルカリ。このメルカリが8月は月間で▲21.4%とスピード調整と出足は最悪。メルカリが指数に入っていなければ、もう2%程度の上昇率になっていた計算になります(メルカリの指数ウエイトは約9%のため)。