売買代金ランキング(5銘柄)

1 ALBERT(3906・東証マザーズ)

 文句なしで8月の新興株の主役でした。7月に通期予想の上方修正を発表、今期に上場来で初となる最終黒字見通しに修正しました。同社の株価が一変したのは、5月に発表したトヨタ自動車との業務資本提携。トヨタの決算説明のプレゼンテーション資料にも、「ALBERTへの出資、自動運転開発のデータ分析で連携 (5月)」と記載されています。

 日本が誇る完成車メーカーと手掛けるデータ分析による収益拡大への期待が、同社株の上昇ストーリー。ただ、これだけ上昇した背景には、上場後にインサイダーや連続赤字の問題があり、投資家から敬遠されていた(ノーマークだった)反動といった側面もありそうです。

2 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 上場後初の決算発表に、投資家が失望しました。9日発表した前期(18年6月期)決算は、最終損益が70億円の赤字に。最終赤字額の拡大が嫌気されたとも言われていますが、機関投資家が売りに回ったのは今期ガイダンスを「未定」として一切示さなかったことだと思います。

 IPO時も合理的な算定が困難ということで、利益予想に関しては開示していませんでした。ただ、せめてIPO時と同じく、売上高の会社見通しは開示して欲しかったところ。今後、いつガイダンスを提示するのか、開示時期の目途すら立たない状況で保有し続けられる機関投資家は極めて少ないことでしょう。機関投資家などの売りで下落したことを引き金に、個人投資家のロスカットが誘発され、株価が下げ止まれない負のスパイラルに入っていると想定されます。

3 UNITED(2497・東証マザーズ)

 メルカリのIPOで出尽くし売りが殺到していた同社株ですが、3日に第1四半期の決算を発表。”出尽くし売りの出尽くし“といった反応で、リバウンドに転じました。

 メルカリのIPOに伴う株式売却益を計上し、第1四半期の営業利益は123億円に(ちなみに前年同期は3億円)。メルカリ売却で得た巨額の資金が、今後別のベンチャー投資へと種がまかれます。目利き力の高いインベスターとしての評価は得たはずですので、今後の新規投資のニュースにも注目されそうですね。

4 JMC(5704・東証マザーズ)

 業績への評価を理由に、「機関投資家の買いを起点に大相場が始まったのでは?」そう思わせる銘柄です。マザーズ銘柄の業績サプライズが少ないなかで、7月下旬に上期業績の予想を大幅上方修正。鋳造事業で自動車向けの需要拡大などがその背景にあります。

 ただ、8月中旬から下旬にかけた急騰には、個人投資家の短期マネーが相当入った可能性大。昨年2月に付けた上場来高値(3,240円)を8月に入ってブレイクすると、数少ない新高値銘柄ということもあり、いわゆる“新値ブレイク投資”(高値で買って高値で売る)的な買いが集まります。それを裏付けるように、9月に入ってすぐ、東証により信用規制をかけられました。今のバリュエーション水準(予想PERで約70倍)をどう説明できるか、この点についてはイマイチ言葉が見当たりません。

5 UUUM(3990・東証マザーズ)

 7月に発表した上場初年度、18年5月期の着地数字が大幅上振れしたことで好業績銘柄としてマークされるようになりました。さらに8月の上昇に力強さを付けたのが、中小型株のレーティング付与で注目されるいちよし証券の新規カバレッジ(8月中旬)。

 投資判断を最上位の「A」、フェアバリューを大台1万円としたことを好感する動きが続いています。同社の収益源である広告収入が、国内ネット動画広告市場の平均を上回ると指摘。昨年ブームだったユーチューバ―ですが、想像以上に息の長い人気なんですね…。