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中国景気は息切れ?上海株の下落は何を意味するか
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

中国景気は息切れ?上海株の下落は何を意味するか

2018/7/4
・上海株の下げは、中国景気悪化を映したものか?
・中国のGDPは景気実態を表さない
・李克強指数と、生産者物価指数に中国景気の実態が表れている
・中国関連株は売られ過ぎ?中国景気の現状を見ながら判断することが必要
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上海株の下げは、中国景気悪化を映したものか?

 今年に入り、上海株(上海総合株価指数)の下げが目立ちます。年初から▲15.7%と大きく下落。日経平均(年初来▲4.3%)、NYダウ(同▲1.7%)よりも、下げが大きくなっています。

上海総合株価指数の動き:2017年1月3日~2018年7月3日

 

 好調だった中国景気が失速し始めているとの見方があり、上海株の下げにつながっています。米中貿易戦争が激化する懸念も上海株安につながっています。

 2016年後半から中国景気が力強く回復したことは、日本の景気に好影響を与えました。中国では、産業用ロボット、工作機械、FA機器などへの投資を拡大する動きが顕著で、中国による「ロボット爆買い」と言われる注文が、日本のロボット産業に出ていました。

 ところが貿易戦争への懸念もあって、足元では設備投資の勢いがやや落ちてきています。このまま中国景気が失速するのか、一時的な減速に過ぎないか、見方が割れています。

 7月6日(金)に米国が予告通り、対中制裁関税を発動すれば、中国も同額の対米報復関税を発動すると宣告しています。そうなると、中国景気はさらにダメージを受けます。

 

中国のGDPは景気実態を表さない

 中国景気は、貿易戦争への不安で既に減速し始めているとの見方もあります。ただし、景気実態は、中国の経済統計では必ずしも良く分かりません。

 中国GDPは操作されているという疑念があり、信頼できません。中国国家統計局が発表するGDP統計を見るといつも安定的に高成長が続いていますが、それはあり得ません。

中国の実質GDP成長率(前年比):2007年1-3月期~18年1-3月期

出所:ブルームバーグより作成

 中国政府の発表ベースでは、2007年以降、中国のGDP成長率は6%を下回ったことがありません。ただし、現実には、リーマンショック直後の2009年1-3月には、中国のGDPも一時マイナスになったと考えられます。世界景気の影響を受けやすい中国のGDPがこんなに安定しているはずがありません。

 もう1つ中国GDP成長率にはおかしなことがあります。中国経済が高成長してきたのは事実ですが、GDP規模が大きくなるにしたがって、実質GDPの成長率は低下するのが自然です。世界第2位のGDP大国になった今なお、7%前後の高成長が続いているはずがありません。

 

李克強指数と、生産者物価指数に中国景気の実態が表れている

 中国景気は、2015年10-12月が大底で、2016年から回復トレンドに入りました。ただし、2017年後半から、やや減速しつつあります。それが、李克強指数【注】や中国の生産者物価指数に表れています。

【注】李克強指数:中国の李克強首相は、首相になる前の2007年に「中国のGDP統計は信頼できない。鉄道貨物輸送量・銀行融資残高・電力消費の変化を見た方が実態がわかる」と語ったとされる。その話を受け、鉄道貨物輸送量25%、融資残高35%、電力消費40%の構成で作られた指数。中国経済の実態をよく表していると評価されている。

李克強指数および中国生産者物価指数(前年比)の推移:2007年1月~2018年5月

 李克強指数を見ると、中国経済がけっこう激しく変動してきたことが分かります。中国政府が発表するGDP成長率とは異なる、中国景気の実態がここから見て取れます。

 中国景気が以下のように推移してきたことが分かります。

  1. 2008年にリーマンショックで悪化。
  2. 2009年は巨額(4兆元)の公共投資実施で急回復。
  3. その後、2015年まで低迷。
  4. 2016年以降、回復。
  5. 足元、やや減速(?)

 中国景気の現状は、中国の生産者物価指数にも表れています。生産者物価の上昇は中国経済の体温上昇を示し、下落は体温低下を示します。上のグラフでわかる通り、生産者物価指数は、李克強指数とほぼ同じ動きをしています。2012年以降、マイナス圏に沈んでいましたが、2016年から中国経済の回復を映して、大きく上昇しています。

 私は、中国景気の実態は李克強指数や生産者物価指数に加え、中国でビジネスを行っている日本企業の声から判断しています。1~3月までは、中国でビジネスを行う日本企業から、中国ビジネス好調の声が聞かれます。4~6月にどう変わったか、4~6月の決算説明会で確かめたいと考えています。
 日本株の先行きを考える上で、当面、中国経済の状況から目が離せません。日本企業の9月中間決算で中国の現状についてどういう話が聞けるか注目しています。

 

中国関連株は売られ過ぎ?中国景気の現状を見ながら判断することが必要

 日本の中国関連株には、業績が好調にもかかわらず、今年に入ってから株価下落が続いているものが多数あります。コマツ(6301)・クボタ(6326)・三菱電機(6503)・牧野フライス(6135)・ファナック(6954)などです。

 中国経済の先行きに過度な悲観があって、それが中国関連株が売られる要因となっています。そろそろ少し買ってみてもいいと考え始めていますが、中国経済が失速するリスクのある今は、銘柄選別に慎重を期する必要があります。

 景気敏感株の押し目買い候補について、明日、さらに解説します。

 

 

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