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米国による対中制裁は6日実施か。制裁・報復の応酬で世界景気は悪化?
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

米国による対中制裁は6日実施か。制裁・報復の応酬で世界景気は悪化?

2018/7/2
・貿易戦争の不安高まる
・「落としどころ」が見えない貿易戦争
・通商問題以外でも、過激な要求を出し始めたトランプ大統領
・今週の重要指標:日米の景況感指数
・日本株は下がったところで、積極的に買っていくべきと考える
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貿易戦争の不安高まる

 先週の日経平均株価は、1週間で212円下落し、2万2,304円となりました。7月6日に米国が340億ドル(約3.7兆円)の対中制裁関税を発動すると予告していること、中国が同額の対米報復関税を発動すると宣言していることが、不安材料となっています。

 米中両国を傷つける制裁・報復の応酬をなんとか回避しようと、米中間で、ぎりぎりまで交渉が行われるでしょう。制裁発動を回避できれば、株式市場にとってポジティブ・サプライズとなりますが、現時点ではそのめどはありません。

日経平均日足:2018年1月22日~6月29日

 

 今年の日経平均は、2月に米金利上昇を嫌気して急落。3月には、米中貿易戦争激化の不安でさらに下落しました。ところが、4~5月には、「貿易戦争は、落としどころを見つけて収束」といった楽観論が広がり、日経平均は急反発しました。ただし、6月後半には、貿易戦争が泥沼に陥る不安が再び高まり、下がってきています。

 今週は重要日程がびっしりです。最重要イベントは、7月6日です。トランプ米政権が、対中制裁関税の第一弾を本当に発動するか、注目されます。

 

「落としどころ」が見えない貿易戦争

 トランプ大統領が過激な保護主義策を打ち出しても、これまで、そのまま実行するとは思われませんでした。「極端なことを言うのは交渉のテクニックで、最後は現実的な落としどころを見つけて収束させる」と、楽観論がありました。

 ところが最近、これまでの楽観論が吹き飛ぶくらい、トランプ大統領の強硬策がエスカレートしています。トランプ大統領は、とりわけ中国に対する強硬姿勢を鮮明にしています。7月6日(金)に、トランプ政権は、知的財産権侵害を理由に、中国に制裁関税を課す予定です。これに、中国は同額の報復関税で応じるとしています。トランプ大統領は、中国が報復関税を発動すれば、さらに制裁関税を上乗せすると表明しています。

 トランプ政権は、対中国以外でも、保護主義の強硬策を打ち出しています。鉄鋼・アルミニウムの輸入にそれぞれ25%・10%の追加関税を課しています。さらに、自動車および自動車部品の輸入に25%の関税を課すことも検討しています。

 米中に集中すると思われた貿易戦争が、米‐EU(欧州連合)、米‐カナダなどに広がりつつあります。EUは22日、米国が鉄鋼・アルミニウムにそれぞれ25%・10%の追加関税を課したことへの報復として、オートバイ(ハーレー・ダビットソン)やウイスキー(バーボン)など28億ユーロ(約3,600億円)の米国輸入製品に25%の追加関税を課しました。トランプ政権の支持基盤となる共和党有力議員の選挙区を直撃する報復で、強硬策には強硬策で対抗する姿勢が鮮明です。

 米国の鉄鋼・アルミ関税への報復は、さらに広がっています。トルコは、米国の鉄鋼・アルミ関税への報復として21日、米国から輸入する石炭、自動車、ウイスキーなどに3億ドル(330億円)規模の報復関税を発動したと表明しました。インドも対米報復関税を検討しています。

 トランプ大統領は、米国を中心に、閉鎖的な貿易政策を取る「中国」包囲網を作る戦略を進めていると思われていましたが、気づくと、世界的に「米国」包囲網ができつつあると、言わざるを得ません。

 

通商問題以外でも、過激な要求を出し始めたトランプ大統領

 トランプ大統領は、イラン核合意から離脱し、イランへの経済制裁を復活すると宣言しました。その一環で、イランからの原油輸入を11月4日までにゼロにしろと、日本を含む、世界中の国に圧力をかけており、「例外はない」と宣言しています。制裁に従わない企業に、重い制裁を課す可能性も示唆しており、イランでビジネスを行う企業は戦々恐々としています。

 米国は、中国の通信大手ZTE社に対し、イランや北朝鮮と取引していたことを根拠に、一時存続にかかわるほど苛烈な制裁を課していました。制裁は解除される見通しですが、個別企業への米国の制裁がいかに恐ろしいか、印象づけました。

 

今週の重要指標:日米の景況感指数

 貿易戦争は、世界景気に悪影響を及ぼすところまでエスカレートするのでしょうか? そうなると、世界の株式市場に大きなマイナス影響を及ぼすことになります。一方、貿易戦争の不安はあっても、世界景気・企業業績が好調を維持すれば、世界の株式は、上昇を続けるでしょう。

 中国の景気は、貿易戦争の影響か、やや減速の兆しが出ています。日米は、どうなるでしょう。今週、日米の製造業景況指数が発表になります。貿易戦争の影響が出ているか、注目されます。

7月2日(月)午前8時50分 6月の日銀短観

 日本の景況をよく表す大企業・製造業DIに、貿易戦争の影響が出るか注目です。ちなみに、3月の日銀短観で、大企業の製造業・非製造業DIは、6月にはやや低下することが見込まれていました。

日銀短観、大企業製造業・非製造業DIの推移:2012年3月~2018年3月

出所:日本銀行

 6月の大企業DIは、6月中旬以降に始まる、4~6月期決算の先行指標となるという意味でも、注目度されます。

7月2日(月) 6月の米ISM製造業景況指数

 好調な米景気に、貿易戦争が影響しているか、見ることになります。

7月6日(金) 6月の米雇用統計

 米雇用情勢が引き続き好調か見ることになります。引き続き、好調ならば、米利上げが9月以降にも続けられる可能性が高まります。

 

日本株は下がったところで、積極的に買っていくべきと考える

 日経平均は、貿易戦争や米金利上昇の不安から、短期的には下落のリスクが高まっていると考えています。ただし、日本株は割安で、下がったところは買い場となると考えています。

 

 

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