<今日のキーワード>
中国政府は4月、習近平国家主席が「千年の大計」として肝煎りですすめる、国家プロジェクト「雄安新区」の開発計画概要を発表しました。新しい都市「雄安新区」は、北京から南西へ約100キロに位置し、北京の過密を緩和すると共に、2035年に向けた環境調和型都市(スマートシティ)の建設を目指しています。計画概要では、人工知能(AI)を駆使した『自動運転技術』などを実現するための「先行開発区」が設けられました。
【ポイント1】「雄安新区」で技術開発
車とインフラが一体となった『自動運転技術』
中国政府は、スマートシティの建設に向けて「雄安新区」に「先行開発区」を設け、ビッグデータやAIなどを駆使した『自動運転技術』の実用化に向けた開発を進める計画を明らかにしました。
ここでは、車にカメラやセンサーを取り付けて、歩行者や障害物を認識する自律型の『自動運転技術』ではなく、インフラ協調型の技術を開発します。具体的には、道路や標識、信号などの交通インフラから得た、路面状況などの情報を合わせた『自動運転技術』です。これは、全く新しい土地の開発だからこそできることで、大都市に応用できれば、渋滞の緩和や省エネの効果も期待されます。
【ポイント2】百度(バイドゥ)などが主導
地方政府や企業と連携
中国政府は、「雄安新区」の自動運転分野での国家プロジェクトのメンバーとして中国インターネット検索最大手の百度を認定し、百度を中心とする『自動運転技術』の開発を支援しています。
百度は、「雄安新区」ができる河北省政府や中国国有通信大手企業などと共同で、次世代通信を利用して、交通インフラと自動運転を一体化した『自動運転技術』の実証試験を始めています。
【今後の展開】中国の『自動運転技術』の進展に注目
こうした中国の動きに世界の名だたる大手企業が熱い視線を送っています。百度が主導する自動運転開発プロジェクトには、米フォード・モーター、独ダイムラー、日ホンダの自動車メーカーに加え、米インテル、米エヌビディア、米マイクロソフトといったIT企業など、内外の大手企業が数多く参加しています。世界最大の自動車市場の中国で、自分たちのポジションを確保する狙いがあるようです。
日米欧で『自動運転技術』の開発競争が一段と激化するなか、世界最大の自動車市場を持つ中国が国を挙げて進める『自動運転技術』の進展が注目されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。