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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手やコンビニエンスストアの店長など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。3月の『街角景気』の現状判断DIは、天候の回復で春物衣料などが上向くなど天候要因などから改善しましたが、先行き判断DIは前月から低下しました。

 

【ポイント1】現状判断DIは4カ月ぶりに改善して48.9に

先行き判断DIも50ポイントを下回る水準

 3月の『街角景気』によると、現状判断DIは前月の48.6から0.3ポイント上昇して48.9となり、4カ月ぶりに改善しました。小売り、サービス関連などの回復により、家計動向関連が前月比0.7ポイント改善したことが要因です。一方、企業動向関連、雇用関連は前月よりDIが悪化しました。

 先行き判断DIは前月から1.8ポイント下落して49.6となりました。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全ての項目でDIが悪化しました。5カ月連続での低下となり、景気判断の分岐点とされる50ポイントを下回りました。米国での保護主義の台頭を受け、株安・円高が進んだことが一因と見られます。

 

【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析

天候要因の重石が解消

 

 街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、現状判断では「大雪」、「寒波」、「野菜」、「高騰」といった単語の使用頻度が大幅に減少しており、天候要因の重石が解消したことが消費者マインドの改善した主因と見られます。

 先行きについては、ネガティブな単語や不安に関わる単語の使用数が増加しました。また、3月に金融市場が大きく変動したことから株価、為替の言及が増えた他、「米国」、「貿易」、「政治」といった単語も増加しました。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

 

【今後の展開】景気全体が悪化する可能性は小さいが米国の通商政策が重石

 内閣府は、『街角景気』について「緩やかな回復基調が続いている」と評価しました。2月までは天候要因により一服感があると指摘していましたが、3月は上方修正しました。一方、先行き判断DIは、50ポイントを下回りましたが、現状の景気動向や米国の財政政策などを前提とすると、景気全体が悪化する可能性は小さいと見られます。ただし、米国の通商政策が見通せない間は、株価・為替の動向も不安定となり、『街角景気』に対して重石となると考えられます。