複合ショックから立ち直るには、時間が必要

 日本株は、長期投資で買い場と考えていますが、短期的な下値リスクは払拭されていません。起こったばかりの複合ショックから、立ち直るのに、まだ数カ月かかると考えています。

当面、気をつけて見ていかなければならない6つのリスク

出所:楽天証券経済研究所が作成

 

 日経平均は、短期は需給や材料で動きますが、長期は、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)によって動きます。今日は、今期(2019年3月期)の企業業績がどうなるか、現時点の見通しをお伝えします。

 

日銀短観で、先行きの企業業績にやや警戒シグナル

 4月2日に3月の日銀短観が発表されました。注目の大企業・製造業DI(業況判断指数)は、やや低下しました。3月実績だけでなく、6月の予想も低下の見込みです。

3月の日銀短観発表、非製造業の景況が悪化

 出所:日本銀行

 

 ただし、低下したとはいっても、DIの水準(3月実績)は、製造業で+24、非製造業で+23と、かなり高い水準にあります。前期(2018年3月期)の企業業績は1~3月まで好調に推移したと考えられます。

 株式市場の注目は、前期実績よりも、4月にスタートしたばかりの今期(2019年3月期)業績予想に移りつつあります。4月中旬以降に本格化する決算発表で、3月期決算企業が、どのような業績予想を発表するか、注目されています。

 そこで、気になるのが、足元、進んでいる円高です。前期(2017年度)の平均為替レートは1ドル110.84円だったので、現状(1ドル106円)のレートが続くと、円高が今期の減益要因となります。

平均為替レート(ドル円)の推移:2013年度~2017年度

出所:楽天証券経済研究所が作成

 

 日銀短観は、日本銀行が日本企業に実施したアンケート調査の回答を集計して作っています。回答期間は2月26日~3月30日です。したがって、3月の日銀短観は、4月以降に本格化する、3月期決算発表の先行指標と見ることができます。3月日銀短観で示された大企業の今期純利益予想は、▲1.5%の減益でした。予想の前提としている2018年度の為替レートは、1ドル109.66円です。保守的(低め)の予想だと考えられますが、現水準(1ドル106円)よりも円安を前提として、減益予想が出ていることは注意を要します。

3月期決算・大企業の収益計画(前年度比%):2017年度(2018年3月期)および2018年度(2019年3月期)

出所:日本銀行 日銀短観2018年3月

 

 

東証一部主要841社の2019年3月期純利益(会社予想)は、小幅減益で出る可能性も

 楽天証券経済研究所では、1ドル106円を前提に3月30日時点で、以下の通り、予想しています。

東証一部3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比)

出所:楽天証券経済研究所が作成

 

 楽天証券では、今期2.5%の増益を予想していますが、会社の期初予想は、控えめ(低め)に出てくる傾向が強いので、小幅の減益予想となる可能性もあります。

 

 

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