この下落局面は、買い場と考える

 日経平均が下がるにつれ、投資家を不安にする材料が増えてきました。
(1)米中貿易摩擦、(2)フェイスブック・ショック、(3)米金利上昇、(4)円高、(5)日米政治不安など、簡単には解決しない問題が増えています(詳しい説明は以下のレポートをご参照ください)。

3月26日:米中摩擦だけではない、複合ショックが招いた株安「第3波」。次の一手は?

 日経平均の下値リスクはまだ払拭できませんが、私は、この下落局面は、長期投資で買い場と判断しています。

 株は、安いときに買って、高くなったときに売れば、儲かります。と言うのは簡単でも、やるのは難しいことです。安いときには悲観的な話が多く、高いときには楽観的な話が増えるからです。大切なのは、リスク管理です。日経平均が割安と考えられるところまで下がったら、余裕資金の範囲で、日本株を買い始めていいと考えます。

 ただし、不安材料が増えている中で投資を始める場合、何を買うか少し注意が必要です。貿易摩擦や円高の影響を受けにくい、ディフェンシブな好配当利回り株から、買い始めたら良いと思います。

 

ディフェンシブ株とは

 今、世界まるごと好景気ですが、いつまでも好景気が続くわけではありません。世界景気は、すでに「回復中期」を越えている可能性があります。いずれ、景気減速(後退)局面を迎えることになります。

 ここからの投資では、景気敏感株の組み入れを低く、ディフェンシブ株の組み入れを高くしたほうが良いと考えます。

 ディフェンシブ株のことを、景気中立株とも言います。景気変動の影響を受けにくいビジネスをやっている企業を指します。景気変動の影響をまったく受けない企業はありません。あくまでも、相対的に景気変動の影響が小さい株を、ディフェンシブ株と呼んでいます。

 景気が悪化しても、さほど業績が悪化しない代わりに、景気が好調でも、そんなに大きな恩恵は受けない銘柄をいいます。代表的な業種は、医薬品・食品・電鉄・通信(携帯電話)などです。景気がいいからといって、医薬品や食品をたくさん使うわけではありません。電車や携帯電話の利用も、景気の良し悪しにあまり関係なく、一定の需要が続きます。

 それでは、ディフェンシブセクター・景気敏感セクターにはどういうものがあるか、もう少し、詳しく見てみましょう。業種大分類(楽天証券独自の5分類)を、景気敏感度の高い順に並べると、以下の通りとなります。5分類の内訳も示しています。

業種5分類の景気敏感度

出所:楽天証券経済研究所


ディフェンシブな好配当利回り株(投資の参考銘柄)

 以下の業種から選びました:食品、3メガ銀行、小売り(日用品)、情報通信・オフィスREIT、医薬品。

 金融は、ディフェンシブと景気敏感の中間に位置づけています。ただ、3メガ銀行だけは、ディフェンシブ株と位置づけてよいと考えています。財務内容が良好、海外収益の拡大によって収益が安定化してきているからです。大手損保もディフェンシブ株と考えてよさそうです。

 不動産業は、賃貸主体ならばディフェンシブです。ただし、開発中心の不動産は景気敏感株です。REIT(リート:上場不動産投資信託)は、賃貸中心なので、基本的にディフェンシブです。中でも、都心一等地のオフィスビル中心に投資しているREITはディフェンシブと言えます。

ディフェンシブな好配当利回り株:2018年3月26日時点

単位:円
コード 銘柄名 配当利回り 業種 最低投資額
2914 日本たばこ産業 5.2% 食品 290,950
8411 みずほフィナンシャルグループ 3.9% 銀行 19,100
8316 三井住友フィナンシャルグループ 3.6% 銀行 444,200
2651 ローソン 3.6% 小売り 701,000
9433 KDDI 3.4% 情報通信 267,550
8951 日本ビルファンド投資法人 3.3% REIT 576,000
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 3.3% REIT 550,000
4502 武田薬品工業 3.2% 医薬品 555,000
注:配当利回りは、会社予想ベース。年間配当金(会社予想)を、3月26日の株価で割って算出。最低投資額は、3月26日終値で、最小投資単位を買うのに必要な金額  

 

 

 

▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー

3月7日:10万円以下で買える!優待株のスクリーニング方法を解説
3月1日:逆張りでねらう「好配当利回り株」
2月22日:「株主優待」が魅力的な好配当利回り株

▼今日のマーケット・キーワード:家計の『金融資産』は2017年も過去最高更新