12月4日:世界最大のモバイルゲーム市場、急成長の後に集約化へ

 中国は2015年に米国と日本を抜いて世界最大のモバイルゲーム市場となったが、iResearchの調査によれば、17年の市場規模は1450億元に達する見込み。17-20年の年平均伸び率は15%となる見通しという。一時の急成長期を過ぎ、今後は国内業界の集約化が進む可能性が高く、こうした環境は膨大なユーザー基盤を抱えるテンセント(00700)に有利。BOCIはテンセントを最有力視し、以下、IGG(00799)、ネットイース(米ナスダック上場NTES)の順で評価している。一方、中国のインターネット・セクター全体に対しても、引き続き強気見通しを明らかにしている。

 中国ではすでに、モバイルインターネットの浸透率が80%、モバイルゲームの浸透率が53%に達しており、新たなゲームユーザーの獲得余地は限定的。一段の成長を確保するためには、課金比率の引き上げやARPU(加入者1人当たり月額収入)の上積みが必要となる。17年を振り返ると、幅広いユーザー需要に対応するため、大手ゲームパブリッシャーがゲームジャンルを広げる傾向が鮮明だった。うちテンセントはRPGに、ネットイースはMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)にそれぞれ手を広げた。一方、これまでの事例から、ゲームユーザーのエンゲージメント(つながり、関与度)強化がゲームの収益化において有効な戦略であることが証明されており、パブリッシャーらはそろってコミュニティーの構築を目指す動きを見せている。

 新規のユーザー獲得コストが増大する中、中小ゲーム事業者は市場からの退場を迫られつつある。業界の集約化は明らかに、国内最大のSNSユーザー基盤を持ち、アンドロイドの有力アプリストア「応用宝」を展開するテンセントにとって追い風となる。(7-9月期の月間アクティブユーザー数はQQが6億5300万人、微信が9億8000万人)。

  また、国内モバイルゲーム市場の成熟化を受け、ゲーム各社は海外に市場を広げつつある。BOCIによれば、国際化に向けてカギとなるのは、R&D能力や現地市場に関する専門知識。R&D能力に優れたネットイースは、現地企業との提携が容易という。一方、テンセントは有力ゲームデベロッパーの買収や、現地の配信会社あるいはSNS運営会社への投資という、異なるアプローチで海外進出を強化している。

 BOCIはモバイルゲーム銘柄のうち、テンセントとIGGの株価の先行きに対して強気見通しを示し、ネットイースに関しては中立見通しを明らかにしている。うちテンセントに関してはターゲティング技術の進化やチャネル面での圧倒的な優位性を活かし、ゲーム市場でさらにシェアを拡大すると予想。目標株価を18年予想PER39倍(PEGレシオ1.2倍)の水準に据え置いた。IGGについてはユーザーの地理的多様性から、モバイルゲームの寿命が長い点を評価。引き続き「ロードモバイル」(王国紀元)が収益成長エンジンであり続けるとみている。