米国企業の決算

 米国の上場企業は1年に4回決算発表します。例外もあるのですが多くの米国企業の会計年度はカレンダーと同じで1月に始まり12月末で〆られます。12月で〆た四半期の決算は1月の中旬あたりから発表されます。するとおおまかに言って1月、4月、7月、10月が決算発表シーズンの開始月なのです。

 いま10月中旬に差し掛かりましたので第3四半期決算発表シーズンがちょうど始まったタイミングです。

 なお小売業の場合、クリスマス商戦期間と、その直ぐ後に続くバーゲンセール期間はひとつのサイクルと捉えられるため決算の〆がそれらの期間をスッポリ収めるという意味で1月末になっているところが多いです。

決算で大事なこと

 さて、決算シーズンで大事なことは自分の気になっている企業がちゃんと「良い決算」を出しているか? を確認することです。

「良い決算」とは;

 1.    EPS(一株あたり利益)で事前のコンセンサス予想を上回ること
 2.    売上高で事前のコンセンサス予想を上回ること
 3.    来期、通年のガイダンスが事前のコンセンサスを上回ること

 この全てをクリアした決算だけが「良い決算」だということです。

 なおEPSを見る際には米国で一般に受け入れられている会計原則(=それをGAAPと言います)に基づいて報告された数字ではなく、修正EPSを比較してください。

 修正EPSとは特別損などの一時的、または非経常的な要因(=それらはノイズに他なりません)を除いて算出された一株当たり利益を指します。

 これに注目する理由は企業の実質的な収益力を見るためです。

 例えば資産の毀損を帳簿上で損金として計上するというような行為はそれより何ヶ月も前にアナリストが予想を立てる際、到底知り得ない事柄ですのでそもそもアナリストの予想には加味されません。だからアナリストの予想を上回ったかどうか? をチェックする際、そのような恣意的、ないしは偶発的な要因はきれいに除去してやらないといけないのです。

 親切な企業の場合、そのような特殊要因を除いた修正EPSをちゃんと決算リリースの中で明示しています。しかし一部の企業はそのようなていねいな説明をしないので、その場合は自分でそういう項目を排除し、修正EPSを計算しなおす必要が出ます。

決算発表直後のトレードのしかた

 通常、ある銘柄が「良い決算」を出せば引け後のトレード(=アフターマーケット)でその株価はジャンプします。この理由は機関投資家がそのような「良い決算」を出した銘柄を買うために殺到するからです。

 逆にそれが「悪い決算」だった場合、アフターマーケットで急落します。

 ここでトレードの極意はそのような機関投資家の行動に逆らわず、「良い決算」で急騰した銘柄は株価が跳ね上がった後でも素直にそこから乗る、逆に「悪い決算」でこっぴどく売られた銘柄は株価が急落した後でも素直にそこで損切りするということです。

 個人投資家はどうしても「良い決算」で上がってしまった銘柄は気後れして見送ってしまいがちですし、「悪い決算」で急落した銘柄は(でも……)と流れに逆らいガチホしがちです。

 でも機関の買いは一日では終わりません。

 機関の売りも一日では終わりません。

 機関投資家は決算の結果をじっくり吟味し、その内容に応じて腰を上げ、そこからガッツリ買う、ないしはそこからしつこく売るという行為をします。

 だから「悪い決算」に個人投資家が買い向かったところで、それは迫りくる貨物列車の前に自分の身を投げ出すような危険なトレードにしかならないのです。

 決算の結果を素直に受け止め、間違っても流れに逆らうトレードをしないでください。

「良い決算」はクセになる

 一度「良い決算」を出した企業は、次の決算も、その次の決算も「良い決算」を出し続けることが多いです。

 これと反対に「悪い決算」を出した企業は、次の決算も、その次の決算も釈然としない「悪い決算」をだらしなく繰り返しがちです。

勝率UPするためには、恥を忍んで「良い決算」出した銘柄が跳ねた後で飛び乗れ!

 結論としてあなたがトレードの勝率をUPしたいと心から願うのであれば格好悪くても「良い決算」を出した銘柄の株価が跳ねた後で買いを入れることを励行してください。