注目の決算発表

 エヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)が8月28日(水)引け後に決算発表します。コンセンサス予想は一株当たり利益(EPS)が64¢、売上高は286.5億ドルです。

 このところ同社は決算発表のたびにコンセンサス予想を大きく上回っているので市場参加者は今回も力強い決算を期待しています。

顧客のコメントには変化が

 エヌビディアの顧客はアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)、アルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)、マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)、メタ(ティッカーシンボル:META)などの大型ハイテク企業が中心です。

それらの顧客企業は既に決算発表を終えています。これらの企業の決算カンファレンスコールでのコメントは、AIに対してやや抑え気味でした。言い換えればセンチメントは少し悪化しています。

メタだけはAIに強気

 唯一の例外はメタで、同社は2024年度の設備投資額をこれまでの350〜400億ドルから370〜400億ドルへ下限を引き上げています。また2025年の設備投資額に関しても2024年より増額を見込んでいます。

 メタが強気な理由は本業のインスタグラム、フェイスブック広告がすこぶる好調なことに因ります。AIを使ってユーザーが好む動画をどんどん見せることで、エンゲージメントを向上し、視聴者が関心を持っている商品やサービスの広告を表示することでインプレッション数と広告単価をそれぞれ+10%UPしました。その結果、第2四半期の同社の売上高成長率はGAFAM(グーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフト)の中で最も高かったです。

AIキャパシティを貸し出している企業は変化を感じ始めている

 それ以外の大手ハイテク企業はメタとは違うビジネスモデルを採用しています。具体的にはデータセンターに設備投資するとそのキャパシティをAIスタートアップ企業へ貸すことで売上高を上げています。つまり大家さんのような役回りです。

 いまベンチャー・キャピタルは先を争って新興AI企業に投資しているので、それらのスタートアップ企業は資金調達が首尾よく完了し、大手ハイテク企業の提供するデータセンターのサービスをどんどん契約しています。

 しかしそれらの大半のスタートアップ企業は未だ製品やサービスは無く、いまは試作品を作って自分たちのサービス・コンセプトが商売として軌道に乗る可能性があることを証明するのに忙しいです。それらの歴史の浅い企業はやや焦り始めています。

一般法人のAI導入は遅れている

 なぜなら大企業に対してAI導入の提案をすることは意外にハードルが高く、アルファベットのような大手ですら「大企業向けの営業は、まだまだやらないといけない課題が山ほどある」とフラストレーションを隠していないからです。

 いまのところパランティア(ティッカーシンボル:PLTR)だけがAIの商機をガッチリ捉えることに成功しています。

値引き圧力

 一方、アマゾンのAWSは顧客から「高価なエヌビディアのGPUを廉価なカスタムAI半導体に置き換えることで、もっと値引きして欲しい!」というリクエストを多数受けています。つまり顧客は値段にうるさくなっているのです。

まとめ

 大手ハイテク企業の第2四半期の決算カンファレンスコールではメタを例外として各社AIに対しやや慎重な態度を打ち出しました。これはエヌビディアのように高価なGPUを売っている企業にとりアウトルックがやや不透明になっていることを意味します。