2024年上期売上高は新型コロナ以外ほぼ横ばい、受注残高が予想上振れ

現地コード 銘柄名
02359

無錫薬明康徳新薬開発

(ウーシー・アプテック)

株価 情報種類

28.75HKD
(7/30現在)

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 新薬開発の受託会社、無錫薬明康徳新薬開発の2024年6月中間決算は、売上高が前年同期比8.6%減の172億元。うち新型コロナ関連業務以外の売上高はほぼ前年並みとなり、BOCIの予想と一致した。TIDES(主にオリゴとペプチド)事業の好調が寄与し、4-6月期の売上高は前四半期比16%増。期末の受注残高は予想を上回る水準に達した。経営陣は非コロナ部門の前年比2.7-8.6%増収見通しなど、2024年通期のガイダンスを据え置いている。BOCIは目標株価を維持し、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 2024年6月中間決算はほぼBOCIの予想通り。同社全体の売上高は172億元で、うち非コロナ部門の売上高は横ばいだった。4-6月期の売上高は93億元(前四半期16%増)。TIDES事業の売上高が21億元(前年同期比43%増)に達した。一方、低分子開発製造事業のコロナ関連以外の売上高は4-6月期に前年同期比2.7%減少したが、これは受注タイミングの振れが影響したためで、2024年通期ではプラス成長を確保する見通しという。ほかに、検査、生物学、CGT(遺伝子スクリーニング検査)などのその他ビジネスは4-6月期にそろって小幅減収となったが、経営陣によれば、うちCGTのみ、米バイオセキュア法(医薬品開発製造受託分野の中国企業との取引に対する規制)の影響を受けたという。

 4-6月期の粗利益率は40.4%と、前四半期比で2ポイント改善した。コロナ関連業務の減収や約4億元の為替差損が響き、経常外利益は同期に約6億元縮小した。

 受注残高は6月末時点で430億元(前年同期比33%増、2023年末比23%増)と、BOCIの予想を上回った。中でもTIDESの受注残高が前年同期比147%増を記録している。

 一方、顧客構成は引き続き安定的。6,000社超の既存顧客基盤に上乗せする形で、1-3月期には約300社、4-6月期には約200社の新規顧客を獲得した。世界の製薬会社上位20社から得られたコロナ関連以外の売上高は、6月中間期に前年同期比12%増の66億元。米国からの売上高は全体の62%を占めたが、非コロナ部門は1.2%の小幅減収。EU(欧州連合)と中国国内は5.3%増、2.8%増だった。

 経営陣は2024年通期のガイダンスを据え置いたが、その内容は売上高が383億-405億元(うち非コロナ部門は前年比2.7-8.6%増収)。設備投資は約50億元。2025年には低分子開発製造向けの設備投資を前年比50%積み増すとした。フリーキャッシュフローに関しては2024年もプラスを維持し、40億-50億元に達する見通しを示している。

 BOCIはWACC(加重平均資本コスト)11.7%、永久成長率2.0%をベースに、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置き、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、地政学的リスク、バイオ企業の資金調達難、市場競争の激化の可能性を挙げている。