値幅調整
米国を代表する株価指数であるS&P500指数は7月16日の高値5,669.67からこれを書いている8 月7日の5,199.50まで−8.3%の調整となりました。S&P500指数の年初来パフォーマンスは+9.0%です。
一方、ナスダック総合指数は7月10日の高値18,671.07から8月7日の16,195.81まで−13.3%の調整となっています。ナスダック総合指数の年初来パフォーマンスは+7.9%です。
両指数ともザックリ調整したので、もう下値は限定的だと思います。言い直せば「値幅調整は終わった」ということです。
日柄調整
ただ下げ始めてから今日まで、S&P500指数の場合、未だ16立会日しか経過していないので、「日柄調整は未だ不十分」と考えるべきです。
場合によっては3カ月ほど一進一退の相場が続くことを覚悟する必要があります。
株式を巡る環境は、不透明感が増しました。米国の景気がソフトランディングできる保証は無くなっていますし、大統領選挙も混沌としてきています。
このような不確実性の増大はボラティリティの拡大につながりました。マーケットの乱高下がある程度落ち着かなければ、安心して買いにくいです。それにはもっと日柄が必要だと思います。
企業業績
S&P500指数の一株あたり利益は2023年の実績が220.17、今年の予想が243.85、来年の予想が278.87となっています。つまり今年のEPS(1株当たり純利益)成長率は+10.8%、来年が+14.4%と予想されているのです。
おおまかに言って株価指数の上昇幅がこの範囲内であれば株式バリュエーションは拡大していないということになります。
いま2024年第2四半期の決算発表シーズンを終えて、今年、来年のコンセンサスEPS予想は殆ど変化がありません。つまり市場が荒れているほどには企業業績の見通しには変化は出てないのです。
バリュエーション
現在の株価収益率は約20倍です。これは過去10年の平均(17.9倍)に比べるとやや割高ですが許せる範囲内だと言えます。
なお10年債利回りは今年の年初が3.95%、現在が3.90%ですのでほとんど変わっていません。
カレンダー
今後のカレンダーを考えると8月14日に米国のCPI(消費者物価指数)の発表があります。今回、CPIが2%台……たとえば2.9%に下げてくれば連邦準備制度理事会(FRB)は利下げしやすいです。市場はそれを期待していると思います。
次のFOMC(米連邦公開市場委員会)は9月18日で、まだ1カ月以上先です。つまり市場が望んでいるような利下げのグッドニュースがもたらされるのは、まだ当分先だということです。
まとめ
まとめると米国株は値幅的には十分調整したと思います。しかし日柄的には未だ経過日数が少なく、もう少し一進一退が続くことを覚悟すべきです。企業業績の見通しには殆ど変化は無く、バリュエーション的にも少し割高だけれど、全然手を出せないほど高くはありません。
積み立て投資で米国の株価指数をまるごと買っているような投資家は、株価が下がった今のような局面で普段より多い株数を買うことにより平均買付単価を抑える、いわゆる「ドルコスト平均法」を励行すべきです。