先週の日経平均は2万8,041円で終了

 先週末3月31日(金)の日経平均株価終値は2万8,041円でした。週足ベースでは2週連続の上昇、前週末終値(2万7,385円)からの上げ幅は656円となりました。

 また、3月31日(金)のTOPIX(東証株価指数)終値が2,003pとなっており、年度末のタイミングで日経平均の2万8,000円台、TOPIXの2,000p台といった、株価の「節目」を超えることができたのは明るい兆しといえそうです。

 今週からは新年度相場入りとなりますが、今回のレポートでは、先週からの流れを引き継いで株価の上昇基調が続くのか、また、それに対する死角はないのかなどについて考えていきたいと思います。

図1 日経平均(日足)とMACDの動き (2023年3月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週を通じて株価の戻りを試す展開となりました。

 週初の3月27日(月)は200日移動平均線まで下げる場面があったものの、サポート(支持)として機能して反発。続く3月28日(火)から3月30日(木)にかけては、25日移動平均線を、抵抗・上抜け・支持の展開を経てクリアし、そして週末の3月31日(金)に一段高となりました。

 前回のレポートでは、1月下旬から3月にかけて2万7,500円の株価水準を挟んでのもみ合いが続いていたため、この価格帯で上値が重たくなる展開も想定していました。

 しかし、先週はこの価格帯をすんなりと突破し、節目の株価(2万8,000円)に乗せたことからも買いの勢いが感じられます。下段のMACDを見ても、「0円」ラインを超えてきており、上昇が継続しそうな印象です。

 テクニカル分析の視点では、3月以降の日経平均が、いわゆる「窓」空けによって、2万8,000円の上抜けと下抜けを繰り返しており、しばらくの間はもみ合いを続けています。

 空けた窓を埋める動きとなった抜けが、さらなる上昇の足掛かりとなるため、「ひとまず様子見」というのが理想的ではあるものの、先週末時点の状況を見ると、このままの勢いで上値を伸ばすシナリオについても想定しておく必要がありそうです。

 その場合、3月9日の直近高値(2万8,734円)までの上昇が目安になります。3月9日当時は、米国のグロース株の上昇や、為替市場の円安基調、メジャーSQ前の需給的な要因に加え、東証が旗振り役となって進めている国内上場企業の低PBR(株価純資産倍率)の改善期待などが株価を押し上げていました。

 特に、低PBRの改善期待については、足元の相場でも買い材料となっているため、今週の日経平均が2万8,500円あたりまで上値を伸ばす可能性はありそうです。

 このことは、別のテクニカル指標からも感じ取ることができます。

図2 25日移動平均線乖離率のボリンジャーバンド (2023年3月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は日経平均の25日移動平均線乖離(かいり)率の推移をボリンジャーバンド化したものです。

 実際に、乖離率の推移(ピンク色の線)を見ると、マイナス2σ(シグマ)から順調に戻り基調を描き、先週末31日(金)時点ではプラス1.37%となっています。

 このまま順調にいけば、プラス1σやプラス2σを試すことになりますが、31日(金)時点の値で計算したプラス1σは2万8,169円、プラス2σが2万8,608円ですので、プラス2σあたりまでの上昇は先ほどの図1で想定した3月9日の戻り高値水準とだいたい合致します。

 ただし、ボリンジャーバンド全体の傾きが下向きであるため、上昇の勢いが失速し、プラス1σあたりで乖離率が下向きに転じることも考えらえます。

 さらに少し厄介なのが、図1にもあるように、直近高値(3月9日)翌日の10日の動きです。この日のローソク足は窓を空けて下落し、大きめの陰線となっています。

 この日の株価下落のきっかけとなったのは、最近まで市場を揺るがしていた米金融機関に対する不安です。つまり、今週の日経平均は、株価の上振れ観測の一方で、「金融不安前の株価水準を回復できるか?」も試されていることになります。

 10日の値幅(2万8,424円から2万8,118円)が抵抗帯として意識され、ここを一気に駆け抜けることができるかが一段高の条件となります。

 続いて、先週の米国株市場の動きについても確認していきます。