トピック:BTC相場は何で動いているか?米金融政策との関係

BTC相場は何で動いているか

【グラフ5】米ベースマネーとBTC相場を比較(2013年1月~2021年1月)

出所:Bloombergより楽天ウォレット作成

【グラフ6】米ベースマネーとBTC相場(2013~2015年)

出所:Bloombergより楽天ウォレット作成

【グラフ5】【グラフ6】では、BTCの売り要因として米金融引き締めを挙げている。BTCのようなボラタイルな相場に米金融政策がはたしてどの程度関係するのか、疑問に思われるかもしれない。

 しかし、長い目で見ると、米金融政策とBTC相場とは驚くほど相関する。上はBTC相場と米国のベースマネーの前年比での伸び率だ。2013年から2015年は縮尺を変えて拡大した。

 これも見ると、2013年12月も2017年12月も、見事に両者のピークが一致している。また、タイムラグはあったものの、2021年の急騰とその後の下落も、この相関を知っていれば容易に予想できた。実際、小職は昨年のピークは800万円で年末500万円と予想、数十万円の誤差で的中させてみせた。

 BTCはリスク資産なのか逃避資産なのかとの問いに対して、通常時は株と連動するリスク資産と考えている。特に投資家のアロケーションの一部に組み入れ始め、そうした傾向が強まりつつある。

 一方で、法定通貨の信認が揺らぐような場合にだけ逃避資産として働くと考えている。なぜなら、BTCは「お金」の代替物として生まれたからだ。

BTCの魅力の源泉

『21世紀の貨幣論』を著したフェリックス・マーティン氏は仮想通貨への人気を社会契約論のジョン・ロックの貨幣観の回帰だと指摘した。

 ロックの貨幣観とは「貨幣システムは 厳密かつシンプルなルールに従うべきだ」というもので通貨の発行量は中央銀行金庫にある金(ゴールド)の量に依存するべしとするものだ。

 これに対し、現在の各国政府は金本位制どころか、国債を発行してそれを中央銀行が買い支えるという禁じ手さえ厭わない。それどころか、今回のコロナ騒動や、近年はやり始めたMMT理論によって、タガが外れた印象さえある。

 むかしむかし悪い王様がぜいたくをするためにお札を刷りまくって、その結果生じたインフレに民が疲弊するといったおとぎ話の、しかし歴史上何度も繰り返した悲劇に対する学習効果がまったく見られない。

 そうした中、FRBがお札を刷れば刷るほど、プログラムによって発行量が定められている新しいお金であるBTCの輝きが増すわけだ。

今後のBTC相場

 こうして、法定通貨の発行量が増すと、BTC価格が上昇し、増加率が減少に転じると下落するというサイクルが続いた。

 ちなみに2013年12月のピークはリーマンショック後の量的緩和第3弾からの元祖テーパリングで、2017年のピークはその際に膨らんだバランスシートの縮小だ。

 それが、今年はその両方を同時に行い、さらに年内に複数回利上げも行おうとしている。まさに金融引き締め総動員で、歴史的政策転換だ。

 そのため、BTCの価格がピークから半分にまで下がったのだが、これまでのパターンで行けばもっと下がっても不思議ではない。しかし、今後のインフレの状況次第だが、今年は350万円から400万円程度で底打ちすると考えている。

 このままインフレが収まらないと、FRBはインフレをコントロールできないのではないか、という不安が浮上、BTC相場を底支えすると考えている。詳しくはこちらの「別稿年次見通し」をご参照願いたい。