2022年、中国株が弱含む局面は「買いのチャンス」か

 したがって、2022年の中国株の見通しはかなり厳しいと言えますが、問題なのは中長期的な時間軸ではどうなのか? ということです。2022年内に成果が挙げられないとしても、後に大きな果実をもたらすのであれば、2022年相場で中国株が弱含む局面は「買いのチャンス」となり得ます。

 確かに、中国当局は不動産投資を中心とする従来の成長モデルに限界を感じているのも事実です。例えば、「中国製造2025」といった政策にもあるように、中国はすでに次の経済成長の柱となる産業の育成に着手しています。

 つまり、中国当局の介入は、目先の経済への悪影響を覚悟しつつも、不動産市場の歪みを解消して住宅価格を引き下げ、マネーや人的資源をハイテク産業や研究開発に振り向けて、持続可能な成長を実現するための荒療治を行っているという前向きな見方もできるわけです。

■(図3)「中国製造2025」の重点分野

 であれば、上記の分野に属する銘柄やETF(上場投資信託)の購入は中長期的に見て、検討に値するかもしれません。

■(図4)中国関連の株価指数の値動き(2020年あたまを100とする)

出所:Bloombergのデータを元に筆者作成

 上の図は、いわゆる「コロナ・ショック」が金融市場を揺さぶる前の2020年あたまを100とした、中国関連の株価指数と米S&P500を比較した指数チャートです。

 2020年3月のコロナ・ショック以降の米S&P500種指数は順調に右肩上がりを描き、この2年弱の間に40%上昇させてきましたが、中国関連の株価指数については、(1)現在もS&P500を上回るパフォーマンスを見せているもの、(2)S&P500を上回っていたが、逆転されてしまったもの、(3)低迷がずっと続いているものなど、かなり値動きがバラバラであることが分かります。

 また、ハンセン指数を除き、今年の2月時点ではすべてS&P500を上回っていましたので、それだけ中国株に対する見方が楽観ムードからリスクムードへと、意識が急速に強まったのかが感じられます。

 今後も多くの指数の値動きが荒れそうな印象となっていますが、先ほども述べたように、現在の中国が「持続可能な成長を実現するための荒療治を行っている」という前提であれば、中国株の買いの好機という判断は「的外れ」ではないと言えます。