米中関係と中国当局の各分野への介入・締め付けがネックに

 まず、コロナ対策勝ち組の定義が、「封じ込めによる感染拡大抑制」から「ワクチン接種の進展による経済再開」へと移ったことで、中国の優位性が薄れていきました。

 また、米バイデン政権の誕生によって期待されていた米中関係の改善も実現せず、米国以外の国との関係についても、台湾への圧力やウイグル族への人権弾圧などをめぐって外交的なあつれきが生じるなど、次第に中国リスクが意識されるようになりました。

 さらに、中国当局が「共同富裕」を大義名分として、大手ハイテク・IT企業をはじめ、不動産業界や教育業界、芸能・ゲーム業界など、あらゆる分野への介入や締め付けを強めたことで警戒感が強まりました。

 特に不動産業界については、中国恒大集団をはじめとする中国不動産企業の債務問題が深刻化し、今後の行方と影響が懸念されています。

 その後の上海総合指数は一定の範囲内での動きとなっていますが、香港ハンセン指数は明らかに右肩下がりのトレンドとなってしまいました。

 そのため、こうした中で迎える2022年の中国株投資について、現時点では「やっぱり避けるべき」というスタンスが増えてしまうのは仕方がないのかもしれません。

 実際に、米中関係においては、2022年秋に中国で開催される共産党大会で習近平党総書記の3期目就任が確実視されていますが、国威発揚などイベントを盛り上げるための地ならしは欠かせないため、米国に対して弱腰になるわけにはいかない状況です。

 一方の米国も、中間選挙を控えているという事情があり、お互いに歩み寄って関係が大きく改善するという期待は膨らみにくそうです。

 中国当局による各分野への介入・締め付けについても、先ほどの党大会に向けた地ならしの一環の意味があります。

 また、中国不動産企業の債務問題については、国内外の金融システム不安は回避できるという見方が優勢ではあるものの、中国経済における不動産と周辺産業の寄与度は高く、中国経済の下押し圧力としてくすぶり続けることになります。

 もちろん、介入の手綱が多少緩むことも想定されるほか、景気を支える政策も出てくると思われますが、バブルを助長させかねない積極的な浮揚策を打つまでには至らないと思われます。