PERだけ見て、割安割高を判断することはできない

 PERだけ見て、割安・割高を判断するのは、適切ではありません。だからと言って、「PERなんか見ても仕方がない」わけではありません。PERの意味をよく理解した上で、PERをしっかり見て投資判断する必要があります。

 それを説明するために、まず、個別銘柄のPERを、具体例に見てみましょう。

PERの低い銘柄群:2021年11月24日時点

大分類 業種分類 コード 銘柄名 PER:倍
金融 銀行 8306 三菱UFJ FG 7.8
保険 8766 東京海上HD 12.1
資源関連 商社 8031 三井物産 6.1
商社 8058 三菱商事 7.1
海運 9101 日本郵船 1.8
製造業 鉄鋼 5401 日本製鉄 3.3
化学 4188 三菱ケミカルHD 7.0
非鉄 5713 住友金属鉱山 5.8
石油 5020 ENEOS HD 5.0
自動車 7203 トヨタ自動車 11.9
出所:PERは、2021年11月24日の株価を、今期予想1株当たり利益(会社予想または目標)で割って計算。今期とは2022年3月期

PERの高い銘柄群:2021年11月24日時点

大分類 業種分類 コード 銘柄名 PER
情報通信 ITサービス 6098 リクルートHD 45.8
サービス ネット販売 3064 MONOTARO 66.8
中古品流通 4385 メルカリ 250.0
サイト作成 4477 BASE NA(赤字)
AI分析 2158 FRONTEO 158.5
ITシステム 4307 野村総合研究所 42.4
消費成長 製造小売 9983 ファーストリテイリング 42.5
食料品 2801 キッコーマン 48.2
バイオ 医薬品 4568 第一三共 89.8
EV関連 モーター 6594 日本電産 51.5
出所:PERは、2021年11月24日の株価を、今期予想1株当たり利益(会社予想)で割って計算。今期とはキッコーマンは2021年12月期、メルカリは2022年6月期、ファーストリテイリングは2022年8月期、他は2022年3月期

 上の表を見るとわかりますが、PERは、銘柄ごとにかなり開きがあります。三菱UFJ FGのPERは、わずか7.8倍です。東証一部全銘柄の平均PER(加重平均)が、約16倍であることを考えると、PERで見て、株価はかなり割安と言えます。

 一方、リクルートHDのPERは45.8倍です。東証一部の平均と比較して、割高に見えます。
ただし、PERを単純に比較して、割安割高を判断するのには問題があります。PERは、あくまでも、今期予想利益に対して、株価が何倍まで買われているか示しているだけです。