一方でリスクを取らない資産管理は期待リターンを下げる

 さて、自分のリスク許容度が低いことを謙虚に受け止め、投資比率を一定割合に抑える決断をしたとき、期待リターンがダウンすることを受け入れる必要があります。

 仮に分散投資をしたリスク資産に年4%のリターンを期待し、これと年0.02%の定期預金と組み合わせるポートフォリオを構成するとします。

 シンプルに「投資5:定期預金5」とすれば、期待リターンは、年2.01%です。この場合、いわゆる「4%ルール」(25年分の生活費を資産形成し、年4%の収益確保をすれば、資産は目減りしない)は維持できません。

 しかし、過剰なリスクテイクを避けていることは賢明な判断でもあり、この場合は取り崩しを前提としたマネープランニングを検討することになります。

 先ほどの取り崩しを考慮し「65歳時3,000万円」のシミュレーションを「年2.01%」に下げると、それぞれの年齢時点での目標額は下記のとおり上方修正されます。

60歳時点 4,615万円
55歳時点 6,076万円
50歳時点 7,396万円
45歳時点 8,591万円
40歳時点 9,671万円

「1億円貯めて40歳でFIRE」は期待リターンを下げても実行可能とするために、必要な資金額だとみなすこともできる、と考えることもできるわけです。

 また、60歳時点あるいは55歳時点での早期リタイアであれば、年利4%でも年利2.01%でもあまり準備額の差が出ないことも分かります。取り崩し時間を短くすれば、リスクを高くとらなくても、FIRE実行ができるわけです。