タイミング重視か、コツコツ積み立てか

 ETFと投資信託の最大の違いは、上場しているか、していないかです。

 ETFは、通常の株式と同様、立会時間中にリアルタイムで変動する市場価格で取引ができます。注文の方法も、買い・売りの値段を自分で指定する「指値注文」と、値段を指定せずに最優先の呼値(よびね)で取引が執行される「成行注文」から選択できます。また、通常の株式と同様、信用取引も可能です。

 対して投資信託は、1日に1回公表される基準価額で取引を行うほか、ブラインド方式によって、実際の取引価格は分からない仕組みになっています。したがって、ETFのように、マーケットのタイミングを見ながら迅速に取引したいというニーズには応えられません。一方で、あらかじめ指定した日に、指定した金額で自動的に買い付けを行う積み立てとは好相性です。

 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)など、個人の資産形成を後押しする制度に投資信託が活用されているのには、1日単位でしか価格が動かず、指定した金額単位で買い付けができるという、投資信託ならではの特性が関係しています。

アクティブ型は投資信託の方が選択肢多し

「インデックスよりも高いリターンを狙いたい」、または「インデックスよりもリスクを抑えたい」といった、具体的な運用ニーズがある方も、投資信託を選択肢に入れた方がよいでしょう。

 前回解説した通り、国内の取引所に上場するETFは、上場審査基準上、何らかの指数に連動した投資成果を目指す必要があり、指数を上回るリターンを目指すアクティブ型ETFの上場は認められていません。海外ETFとして展開されている、米国のアクティブ型ETFを取引することは可能ですが、投資信託と比べると選択肢は少なくなっています。