暗号資産のもうけは「総合課税の雑所得」
本コラムでは原則、個人で暗号資産への投資をしている場合について説明をしていきます。法人の場合はまた別の規定となっていますので、ご注意ください。
上場株式の売却益は「分離課税の譲渡所得」で税率は20.315%、先物・オプション取引やFX取引での利益は「分離課税の雑所得」で税率は同じく20.315%です。
実は、暗号資産の税金はこれらとは大きく扱いが異なります。個人が得た利益(所得)には所得税・住民税が課税されますが、暗号資産の売却で得た利益は「総合課税の雑所得」となります。
総合課税ということは、給与所得や事業所得、不動産所得など他の所得と合算の上、所得が多くなればなるほど税率が高くなる「累進課税」の扱いとなります。
上述のように、上場株式や先物・オプション、FX取引はどんなに儲(もう)けても20.315%の税率ですが、暗号資産では利益額が大きいと50%を超える税率となることもあるのです。
暗号資産の取引で損失が生じた場合は?
2020年は、コロナ・ショック以降は暗号資産の価格が大きく上昇しましたが、逆にコロナ・ショック中は暗号資産も急落し、その時の売買で損失が生じている方もいると思います。
暗号資産の取引により、年間トータルで損失となった場合は、残念ながらその損失を翌年以降に繰り越すことができません。
他に総合課税の雑所得(例えば副業の収入)がある場合は、それと暗号資産の損失を相殺することはできますが、該当する方は少ないと思います。
上場株式や先物・オプション取引であれば、損失を翌年以降3年間繰り越し、将来の利益と相殺することができるのですが、現時点で暗号資産についてはそのような恩恵はありません。