今期と同じ利益が、今後ずっと得られるわけではない

 今期と同じ利益が、これから毎年ずっと得られるならば、PERだけで割安割高を判断して問題ありません。ただし現実には、今期と同じ利益が将来も続くわけではありません。

 将来の利益がどうなるか、増えていくのか、減ってしまうのか? そのイメージによって、今期PERで高い水準まで株価が買われるか、低い水準に放置されるか、決まります。

PERの低い銘柄群には、一般的に以下の特色があります。

(1)利益の成長性が低いと考えられている銘柄
(2)利益が不安定と思われている銘柄(金融株・資源関連株など)
(3)特別利益(株や土地などの売却益など)によって、一時的に利益水準が高くなっている銘柄

PERの高い銘柄群には、一般的に以下の特色があります。

(1)利益の成長性が高いと考えられている銘柄
(2)利益が安定的と思われている銘柄(ディフェンシブ株。景気悪化の影響が小さい)
(3)特別損失(不採算事業からの撤退損など)によって、一時的に利益水準が低くなっている銘柄

不当に低PERな銘柄は「買い」、過剰な期待で高PERに買われている銘柄は「売り」

 さて、PER何倍だったら、株価は割安と言えるのでしょうか? 一般的には、東証一部の平均PER27倍より、低ければ割安、高ければ割高と言えます。

 ただし、そういう画一的な見方には問題があります。利益の成長性や安定性が考慮されていないからです。

「PER何倍なら割安」という問いへの私の答えは、以下の通りです。

・PERだけでは、割安割高の判断はできない
・利益の成長性・安定性を総合的に考慮したうえで、割安割高を判断すべき
・利益の成長性や安定性を考慮すると、PER10倍でも割高、PER40倍でも割安な銘柄もある

 PERが低いということは、株式市場の評価が低いことを意味します。ただし、中には、不当に低い評価を受けている銘柄もあります。私は、三菱UFJ FG(8306)三井住友 FG(8316)三菱商事(8058)三井物産(8031)日本電信電話(9432)KDDI(9433)は、高配当利回りの割安株として「買い」と判断しています。

 逆に、PERの高い銘柄で、株式市場の評価が高すぎる銘柄は、「売り」判断となります。

▼著者おすすめのバックナンバー
202年12月17日:NISA枠で長期投資したい割安・高配当利回り株10選【投資初心者】
2020年12月10日:「株主優待は欲しいが株価下落リスクは負いたくない」なら「つなぎ売り」:信用取引の使い方
2020年11月20日:親会社が「TOB」してもおかしくない上場子会社5銘柄:急増する親子上場解消