先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し

 先週も下落した原油相場においては、複数の下落要因があると考えられます。(1)新型コロナ感染拡大による消費減少の長期化懸念、(2)OPEC(石油輸出国機構)の減産終了懸念、(3)米国の原油供給増加観測、などです。新型コロナの感染者数は、世界全体でまだ増加傾向にあり、各国で経済再開は行われているものの、引き続き大きな懸念と言えます。世界全体が立ち直り、石油の消費が回復するには、まだ時間がかかる可能性があり、このような懸念が市場の上値を重くしていると、みられます。

 (2)OPECの減産終了懸念についてですが、基本的には、現在の協調減産は、2022年4月まで継続することとなっています。しかし、今年6月の会合で合意した内容には、継続にあたり条件が付けられています。5月と6月に減産を順守できなかった国は、7月から9月に、未達分を上乗せして削減をする、という条件が盛り込まれています。OPEC内でも複数の国が、5月と6月、減産を順守できませんでした。

 それらの国は、その未達分の削減を、今月までに実施しなければなりません。9月17日に、総会ではありませんが、会合があることについて、昨日ロシアの石油大臣が改めて指摘しました。5月と6月に減産を順守できなかった国に、9月中に、きちんと条件を守らせるための、アナウンスと考えられます。

 5月・6月に減産を順守できず、かつ7月・8月に生産量が増えた国は、海外メディアの情報をもとにした推計では、3つあります。UAE、クウェート、赤道ギニアです。サウジとアルジェリア以外の8つは、5月・6月に減産を順守できなかったとみられ、なお、削減が必要ですが、中でも、先に述べた3カ国は、生産量を大幅に減少させる必要があります。いずれにせよ、今月のOPEC各国の生産量が、今後の減産の行方を決める可能性があり、要注目です。

 6月から8月末まで、原油相場はほぼ横ばいで推移してきました。上昇要因と下落要因が交錯していた結果と考えられます。しかし、先週から下落が目立ち始めました。短期的には、下落要因が優勢とみられます。OPECプラスの減産が今後、終了しないか、懸念が強まっている点が、足元の最も大きな、原油固有の下落要因とみられます。

 今月、OPECのみならずOPECプラスの一員として減産に参加している非OPECの国々が、減産継続のための条件を達成することが望まれます。また、足元の株価の反発は、原油相場にとってプラス要因と言えると思います。OPECプラス起因のマイナス材料を相殺するだけの株価の上昇があれば、原油相場は40ドル近辺まで、回復する可能性があると、考えています。

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