税メリットを理解できない人はiDeCoを始めるには早い?

「口座管理手数料がかかるからiDeCoはマイナスである」という誤解があるたびに感じるのは、「税金を踏まえた損得計算」というのはかなり難しいということです。計算が難しいというのではなく、私たちが税についてあまりなじみがないためです。

 所得控除が「27.6万円拠出すれば、税金が27.6万円減る」という意味ではないことを理解するためには、「実際の所得から所得控除額を引いたものが課税所得で、そこから税金額を計算する」という基本的な仕組みをきちんと理解しておく必要があります。

 また、課税所得を減らせばなんでもいいわけではありません。

 個人事業主が買い物をして経費を増やしても課税所得は減りますが、それは手元に残るわけではなく消費です。iDeCoへの拠出額は将来自分に戻ってくる財産であり、資産の受け取り時期を遅らせるだけで、目の前の税負担を軽くできるからこそ、加入の意義があるわけです。

 私自身も個人事業主になって、また個人会社の社長(社員はゼロですが)になってはじめて、税金のことや社会保険料のことを具体的に考えました。確定申告も一度やった人とそうでない人の間には、おそらく税理解に圧倒的な差があると思います。

 トータルで資産の管理運用を考えるなら、税金の理解は避けて通れません。ちょっと学べばそう難しいことではありません。iDeCoを検討するときにはざっとでも調べてみてください。

「iDeCoは中途解約ができないことが使いにくくて、NISAのほうがいい」というのはその通りかもしれません。しかし「iDeCoは手数料がかかるから……やはりNISAかな」というのはおかしい話なのです。