ドル/円のレンジブレーク

 先週のドル全面安でユーロや金は数年ぶりの高値を更新しました。ドル/円もドル安となり、105円台に入りましたが、ここ数年の円高水準になったわけではありません。従って、円高余地はまだあるかもしれません。一方で1ドル=106~108円レンジを一時的にブレークしただけとの見方もあります。

 ドル/円が2カ月近く彷徨(さまよ)っていた106~108円レンジを、完全にブレークしたのかどうか見極めるためには、106円以下の滞空時間と反発力に注目です。106~108円レンジで上方にブレークした時は108円台から109円台の滞空時間は短く、1週間程度で元のレンジに戻りました。

 同じように今回の下方ブレークも105円台の滞空時間が短いかもしれません。先週24日金曜日から4日目に入っていますが、今のところ反発力も強くないようです。このままドル/円が106円台に戻らなければ105円割れに入り、新しいレンジを形成していく可能性があります

 ただ、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円はいまだ堅調なため、心理的節目である105円割れ定着には時間がかかるかもしれません。今週は米国が7月30日、ユーロ圏は7月31日に4-6月期GDP(国内総生産)成長率の速報が発表されます。欧州ではGDP以外にも経済指標が相次ぐため、その指標によってユーロが一段高になるのか調整されるのか注目です。これまで買われ過ぎていたユーロやユーロ円の調整が起これば、ドル/円の円高への後押しになりそうです。