今週の見通し

 先週の値動きの中で、筆者が最も注目したのは、上海総合指数が上昇した一方で、S&P500、NYダウ、ナスダックといった米国の主要株価指数が下落した点です。

 先週、新型肺炎の発祥地である中国の株価指数である上海総合指数は3.9%上昇しましたが、米国の株価指数はいずれも下落しました。

 上海総合指数はこの3.9%の上昇を受け、春節前の水準、つまり、新型肺炎の懸念によって急落する直前の水準まで戻りました。中国政府による資金供給なども後押しした面もありますが、“株価的には”新型肺炎の懸念の影響から回復したと言えると思います。

 逆に、米国の主要株価指数は、先週の初め、アップルの1-3月期の売上見通しが引き下げられたことなどにより、米国企業の企業業績見通しの悪化が拡大する懸念が強まり、週末にかけて、下落が目立ちました。

 アップルの売上見通しの引き下げは、主に新型肺炎起因と言われていますので、新型肺炎が、いよいよ、米国の実体経済に強い影響を及ぼし始めたと言えそうです。米国における感染者は35人(2月24日時点)ですが、米国内で感染者が増加した場合、それに伴い、米国株には心理的にも、下落圧力がかかる可能性があります。

 新型肺炎が米国に影響を及ぼし始めているとみられることは、世界規模の大きいなマイナス要因と言えます。米中貿易戦争の改善期待というプラスの材料が生じ、新型肺炎のマイナスを相殺することが期待されます。

 新型肺炎の世界規模の拡大がはじまったのは1月半ばでした。今週は各国の1月時点の経済指標の公表が相次ぐため、これらの経済指標が、新型肺炎がどの国のどの分野に影響を及ぼしているのかを知るヒントとなりそうです。

 今週、日本では、28日(金)に1月の鉱工業生産・速報値、1月の百貨店・スーパー販売額、などが公表されます。また、米国では、2月26日(水)に1月の新築住宅販売件数、27日(木)に1月の耐久財受注、28日(金)に1月の個人消費支出、などが公表されます。

 今週は、新型肺炎の影響を経済指標というデータで確認しながら、米国発のプラス材料の出現を期待しつつ、新型肺炎の鎮静化を待つ展開となりそうです。

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