4.今後の展望

 コカ・コーラの見通しは明るいとみています。これまでの構造改革を経て、飲料業界の競争激化を背景にした販売関連費の増加リスクは軽減できたと考えられます。

 売上高にも拡大の余地があります。同社は近年、健康志向に沿ったユニークなソフトドリンクや、話題性の高い飲料を開発する有力企業と積極的にパートナーシップを結んでいます。今後はそれらメーカーの製品力およびブランド力と、同社の販売網およびマーケティング力を活かし、新製品の拡販を図るとみられます。

<飲料メーカーとのパートナーシップ、買収の動き>

  • 2013年:英スムージーメーカー大手の「イノセント」を買収。「イノセント」のペットボトル型スムージージュースは今年日本でも発売開始。
  • 2015年:米エナジードリンク(※)大手のモンスター・ビバレッジ(MNST)と長期型の戦略提携関係に入る。
  • 2019年:英コーヒーチェーン大手の「コスタ」の買収を完了。買収後に立ち上げた「コスタ」ブランドの缶コーヒーを拡販する方針。

出所:各種資料より楽天証券作成

 ※エナジードリンクとは、カフェイン、アルギニン、バリンなどを含有した強炭酸系飲料を指す。他の清涼飲料水に比べて特にカフェインの含有量が多いことが特徴。知名度の高い製品は「レッドブル」や、モンスター・ビバレッジの「モンスターエナジー」等。アマゾン・ドット・コム(AMZN)や、日本ではイオン(8267)が自社ブランドの製品を展開するなど異業種の参入も目立つ。

 また、業態が異なるため今後エリアが拡大するのか不透明ですが、日本の九州エリアでは、同社のチューハイ「檸檬堂」が販売されています。

コカ・コーラの業績推移

出所:会社資料およびブルームバーグより楽天証券作成
注1:市場予想および調整後EPS(1株当たり利益)はブルームバーグより取得(日本時間2019年8月8日時点)
注2:2016年12月期、2017年12月期、2018年12月期のPERは実績値(株価は各期末日の終値)、2019年12月期以降は調整後EPSをベースにした予想PER(株価は2019年8月7日終値53.18ドル)

 なお、地域別のセグメント情報は以下の通りです。

2018年12月期の純売上高及び営業利益構成比

出所:会社資料より楽天証券作成