リーマン級ショックは起こらないと考える4つの理由

 私は、米中対立がエスカレートしてリーマンショックのような景気後退を生じる可能性は低いと考えています。それには、4つの理由があります。

【1】米中交渉が一定の落としどころに落ち着くと予想

トランプ大統領は、来年、大統領選挙を控えています。したがって、深刻な景気後退を招くまで対立を引っ張るわけにはいかないと考えられます。一方、中国も景気悪化で、ゆとりがなくなってきています。習近平国家主席に対する、中国国内での批判も徐々に高まっています。米中とも本音では何らかの形で交渉合意に持って行きたいと思っているはずです。

 抜本的な解決策はないが、目先、部分的にでも何らかの形で合意を形成すると予想しています。

【2】資源安メリットが世界景気を押し上げる効果が継続

 2015年に、原油をはじめとした世界中の資源価格が急落しました。その恩恵が日米欧アジア経済にメリットを及ぼしています。資源安メリットのプラス効果がまだ続いていると考えています。

【3】AI、IoT、5G、ロボットの拡大続く

 IT化サービス化社会の進化は止まりません。今、米中ハイテク戦争の影響で、やや人為的に進行が抑えられていますが、米中ハイテク戦争が一服すれば、再び、AI(人口知能)、IoT(モノのインターネット化)、5G(第5世代移動体通信)、ロボットが世界的に拡大する流れが続くと考えています。

【4】金融危機になる懸念は小さい

 2008年のリーマンショックは、世界的な景気後退と金融危機が同時に起こったため、深刻なショックとなりました。1998年の世界景気後退(中南米・アジア・ロシア危機)も、景気悪化と金融危機が同時に起こったため、深刻なショックとなりました。

  一方、金融危機を伴わない景気後退(たとえば2001年のITバブル崩壊による景気後退)は、大きなショックとはならず、比較的、短期で回復に向かっています。2019年の世界的な景気悪化は、金融危機をともなわない短期的な悪化になると予想しています。

 したがって、短期的なショックで日経平均が下がる局面は、長期的に日本株の買い場と考えています。

 

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