関税第4弾発動の本気度は?

 わずか1週間ほどで米中合意期待が協議物別れとなり、しかも制裁関税報復合戦になったショックで、今回の株価急落は起こりました。これらの追加関税が発動されると、米中のみならず世界経済が失速する恐れがあるとの先行き不安が一気に高まったためです。

 IMF(国際通貨基金)の試算によると、米中互いの輸入品の全てに25%の関税を上乗せした場合、米国のGDPは最大0.6%、中国は最大1.5%減る可能性があると警告しています。しかし、まだ関税が引き上げられたわけではありません。10日に発動した25%への引き上げは、10日以降に中国から輸出された製品が対象となり、米国に到着するまで数週間かかります。また、第4弾の約3,000億ドルの追加関税は、公聴会などで意見を聞くため、実際の発動の判断時期は7月頃になる見通しです。

 中国の対抗策も6月1日発効とのことです。

 つまり、実際の発動までには数週間の時間的猶予があります。それまでに米中両国は合意を目指し、6月28~29日のG20(主要20カ国・地域)首脳会談で合意に達するというシナリオは十分に考えられます。

 5月に入って米中通商協議の事態が急変したため、株価は急落しましたが、この数週間の猶予期間に合意の方向を見出すことができれば、このショックは株式市場で吸収されるかもしれません。

 上述の月例経済報告についても、政府としては消費税増税の延期を望まないため、6月のG20での米中首脳会談を見極めるまでは表現を維持するかもしれません。

 2008年9月のリーマン・ショック時の景気動向指数は2008年6月から「悪化」でしたが、月例経済報告で「回復」の文言が消えたのはその2カ月後でした。

関税発動がなくても景気にはマイナス

 ただ、留意しておきたいのは、これまでの米中貿易摩擦の影響は続いている点です。この猶予期間も、先行き不透明感から設備投資などは慎重になることが予想され、景気にとってはマイナスとなりそうです。月例経済報告で回復が維持されても、あるいは1~3月期GDPが予想を上回るプラス成長だったとしても、株価は一時的に反発しそうなものの、上値は重たい状況が続きくかもしれません。ドル/円も、大半の企業の想定為替レート110円を勘案すると110円台は重たい状況が続きそうです。