高配当株への投資によるNISAのメリットはどのくらい?
例えば配当利回り5%、株価1,200円のA社株1,000株(非課税限度枠いっぱい)をNISA口座にて投資したとしましょう。5年間で得られる配当金は120万円×5%×5年=30万円です。
もし通常口座であれば、配当金に対して20.315%の税金がかかりますから、30万円×20.315%=6万945円の税金が非課税となる効果を得られます。
そして5年後株価が1,500円で売却した場合、1,200円で売却した場合、900円で売却した場合に、売却損益にかかる税金の効果を考えてみます。
◯1,500円で売却した場合
売却益(1,500円-1,200円)×1,000株=30万円
30万円×20.315%=6万945円 の税金が非課税となる
◯1,200円で売却した場合
売却益はゼロのため、非課税効果は得られない。
◯900円で売却した場合
売却損(900-1,200)×1,000=30万円
一般の口座であれば損益通算により30万円×20.315%=6万945円の税金削減効果が得られるが、NISA口座では切り捨てになってしまう。
売却損益を加味するとNISA口座が不利になることも
このように、売却益があればNISA口座が有利ですが、売却損の場合はNISA口座だと切り捨てになってしまうため、通常の口座の方が有利となります。
例えば上のA株で、900円で売却した場合は
◯配当金5年間合計30万円×20.315%=6万945円の非課税効果
◯売却損が切り捨てとなるため30万円×20.315%×6万945円の
税削減効果が得られない
トータルすると「NISA口座でも通常口座でも変わりない」ということになるのです。さらに、高配当株というのは、将来的に業績が悪化するなどして、配当金が減額されてしまうリスクもあります。実際に配当金を引き下げる(減配)になれば、株価も値下がりしてしまうでしょう。
配当金の減額リスクや、売却損の損益通算のことも考えると、逆に通常の口座で投資した方が有利となるケースも少なくないのではないか、というのが筆者の見立てです。