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特集:2017年のテクノロジー株を展望する(ゲーム、電子部品、自動車・自動車関連、薬品・バイオ)
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

特集:2017年のテクノロジー株を展望する(ゲーム、電子部品、自動車・自動車関連、薬品・バイオ)

2017/1/6
2017年大発会の日経平均株価は、前年末比479.79円高の19,594.16円で引けました。とりあえずは、おめでたい新年となりました。12月後半に若干円高に振れていたドル円レートが、一時1ドル=118円台に入り、円安傾向となってきたことが相場全体によい影響を与えたようです。
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2017年のテクノロジー株を展望する

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

今回は年頭に当たって、今年のテクノロジー株各セクター(ゲーム、電子部品、自動車・自動車関連、薬品・バイオ)のファンダメンタルズと株価を展望してみたいと思います。

1.為替レート、トランプ新政権の関税、口先介入に注意したい

2017年が始まった

2017年大発会の日経平均株価は、前年末比479.79円高の19,594.16円で引けました。とりあえずは、おめでたい新年となりました。12月後半に若干円高に振れていたドル円レートが、一時1ドル=118円台に入り、円安傾向となってきたことが相場全体によい影響を与えたようです。ただし、その後の為替レートは5日に一時1ドル=115円台、6日も朝は115円台で推移しており、為替相場の振れが大きくなっています。

日本のテクノロジー株の問題は、集約すると3点です。

  • 円安の持続性

この円安が持続するかどうかが大きな焦点です。テクノロジー関連の企業は、少子高齢化が進む日本だけで営業しても成長できないため、通常はグローバルに事業展開します。従って為替レートは重要な経営問題です。

1月20日にアメリカのトランプ新大統領が正式就任します。トランプ氏が為替レートに対してどのように考え、どのように発言するのかが、まず一つ目の注目点です。

トランプ氏はインフラ更新のための大規模公共投資を唱えており、これが実現するとアメリカは金利が上昇し趨勢的にドル高円安になる可能性があります。トランプ氏がある程度の円安を受け入れるなら、それは日本株にとっての大きなプラス要因となるでしょう。ただし一方で逆の対応、即ち円安に対して強い対応を示す可能性もあります。

  • アメリカの輸入関税はどうなるのか

これは主に自動車と自動車部品に関連しますが、アメリカが輸入する様々な工業製品にも関連します。トランプ氏は選挙戦の中でメキシコ→アメリカの乗用車の輸入関税を現在の0%から35%に引き上げると言っていました。日本→アメリカの輸入関税も現在の2.5%から引き上げると言っていました。実際に、35%の高率関税が適用されれば、メキシコに生産拠点を持ちアメリカに輸出している自動車メーカーに与える影響は大きなものになります。

トランプ氏は保護貿易主義を掲げて当選しているため、関税引き上げ自体は行われると思われますが、問題はその率です。35%という高率関税を実際に課すのか、あるいは(例えば)10~20%程度に抑えた数字になるのかです。これは実際にやってみなければわかりませんが、自動車の場合、35%の高率関税ならアメリカ工場の増強で対応するしかなさそうです。しかし10~20%の関税なら、アメリカ工場の増強だけでなく、販売価格の値上げ、車種構成の高度化(価格の高いSUVをより多く売ること)で対応できる可能性があります。5日のトランプ氏のトヨタ批判のツイッターを見ると、メキシコ→アメリカの乗用車輸入に35%の高率関税が課される可能性は高いと思われます。

  • 口先介入

トランプ氏が大統領就任後もツイッターを使った口先介入を行うかどうかも問題になります。おそらく継続することになると思われますが、その矛先がどこに向かうのかが問題です。新年早々5日には、メキシコに新工場を計画しているトヨタに対してツイッターで警告を発しました。

このように、2017年はトランプ大統領の年です。ただし、潜在的にリスクがあることと、顕在化することは別です。大統領就任後のトランプ氏の動きを見たいと思います。

2016年のテクノロジー株は概ね好パフォーマンス。今年は?

テクノロジー株の各セクターの業種別株価指数を見ると(グラフ1)、「その他の製品」(任天堂の影響が大きい)、「電機機器」は2016年を通して右肩上がりの相場で、「輸送用機器」は為替が円安転換した夏から上昇に転じています。医薬品のみが振るいませんでした。

また、日経平均株価との相対パフォーマンスをグラフ2で見ると、「その他の製品」が大きくアウトパフォームしているほか、2016年前半は振るわなかった「電気機器」「輸送用機器」も夏からは持ち直しました。一方、「医薬品」は日経平均との比較でも悪いパフォーマンスでした。

これが今年2017年にどうなるか、考えてみたいと思います。

グラフ1 テクノロジー関連セクターの業種別株価指数

(日足終値。注:「業種別株価指数:その他の製品」は任天堂の影響が大きい。)

グラフ2 2016年1月4日=100とした指数の比較

(出所:楽天証券作成)

グラフ3 ドル円レート

(週間高安平均、円/ドル、出所:楽天FXより楽天証券作成)

2.ゲームは引き続き任天堂、ソニーに注目したい

「スーパーマリオラン」の評価が割れている

昨年12月16日(アメリカ太平洋時間では15日)に配信開始された任天堂の「スーパーマリオラン」の評価が割れているようです。日本ではアイテム課金型のスマホゲームのユーザーほど評価が低いようです。また、海外に比べ日本での評価が低いと思われます。

この理由は、プレイしてみれば分ります。重課金型の日本のスマホゲームだけでなく、課金を抑えた作りになっている「ポケモンGO」と比べても違いは明らかです。スーパーマリオランは、「技(テクニック)」と、技を積み重ねた後に味わえる「面白さ」をお金で買えないゲームなのです。スーパーマリオランの課金は単に全ステージを何度もプレイしてよいというだけのものです。上手くクリアできるかどうかは、個人の修練と技能によります。ゲームの得意な人は直ぐに全ステージをクリアできるようですが、アクションゲームが苦手な人、中高年齢層のプレイヤーにはなかなか難しく、有料ステージに到達するのに時間がかかっている模様です(斯く申す私もその一人です)。

任天堂が言いたいのは、これが「ゲーム」であるということでしょう。技と面白さをお金で買うのではなく、ある程度自分の努力で面白さを掴み取るのが本来のゲームであるということです。

任天堂の事業にとってスーパーマリオランはかなり重要な役割を果していると思われます。課金ランキングは多くの国で10位以下になっていますが、これは1回だけしか課金しないため、また、有料ステージまで進む人が少ないと思われるため仕方がありません。一方でダウンロードランキングは、多くの国で全分野の中で1位、ゲームカテゴリーに絞ればほとんどの国で1位です。ダウンロード数は、配信開始後4日で4,000万DLを超えており、遠からず1億DLを超えると思われます。継続的に新規ユーザーが流入していると思われます。スーパーマリオランは、ゆっくりとですが、ゲームに対する人々の考え方を変えていくのではないかと思われます。

昨年12月29日からは、スーパーマリオランのアンドロイド版の事前登録が始まりました。配信日は未定ですが、推定ですが今期中には配信開始になると思われます。ゲームユーザーの数はiOSユーザー(iPhone/iPadユーザー)よりもアンドロイドユーザーのほうが多いと思われるため、ダウンロード数と課金額にとってはプラス材料になります。

3DSハードが欧米で品不足

また、家庭用ゲーム市場で重要な変化があります。昨年のクリスマスシーズンから今年年初にかけて、欧米の多くのゲーム販売店で3DSハードが品切れになりました。ソフトも「ポケットモンスター サン/ムーン」が品不足になりました。ポケモンGOとスーパーマリオランが家庭用ゲームへの関心を喚起したと思われます。

新年1月13日には、いよいよ「ニンテンドースイッチ」の説明会が開催されます。スイッチの全容が明らかになります。後は任天堂は結果を出すだけです。

ソニーは2017年にVRゲームが立ち上がる

ゲームではソニーも重要な局面に入ると思われます。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の発表によると、2016年年末年始商戦(2016年11月20日から2017年1月1日までの期間)でPS4を620万台以上販売し、1月1日時点での累計販売台数は5,340万台を超えました。2015年年末年始商戦での販売台数が570万台、2016年1月3日の累計販売台数が3,590万台、2014年年末年始商戦では同じく410万台、1,850万台(2015年1月4日時点)でしたので、販売台数は堅調に伸びていますが、伸び率は鈍化しています。PS4の普及が進んだためと思われますが、人気の高い高性能版のPS4Proが日米欧で入手困難であることも影響していると思われます。ポケモンGOとスーパーマリオランの影響を受けている可能性もあります。

ただし、ソフトではSIEブランドのPS4用「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」の累計実売本数が870万本(2016年12月21日時点)を突破しました。自社製ソフトのグローバルヒットが少ないソニーとしては大きなニュースです。今期中に1,000万本に達する可能性もあります。

来期(2018年3月期)はVRゲームが大きく立ち上がる可能性があります。1月26日発売のカプコンの「バイオハザード7」を皮切りに、フルVRのゲームソフトが増えると思われます。また、任天堂が海外で獲得した新規ユーザーがPS4ユーザーになることも考えられます。

2017年はゲームセクターにとって重要な年です。投資機会の大きい年になると思われます。

グラフ4 日経平均株価とゲーム株

(2016年1月4日=100とした指数、出所:楽天証券作成)

3.電子部品は、2017年秋発売の新型iPhoneと自動車への展開に注目

2017年1-3月期にiPhone減産か

12月31日付け日経新聞1面によれば、米アップルはiPhoneを2017年1-3月期に前年同期比約10%減産する模様です。2016年9月発売のiPhone7が計画したほど売れていないためです。1年前を思い起こすと2015年11月下旬にアップルから部品メーカーに対して減産の通告が行われた模様ですが、この通告に従って同年12月からiPhoneの減産が始まり、2016年春まで継続しました。2015年9月発売のiPhone6sの売れ行きが悪かったためです。今回もiPhoneは勢いを取り戻せなかったようです。

ただし、iPhone7がアップルの思うように売れなかった要因には、アップル側の計画ミスもあると思われます。上の記事には、大画面の「7Plus」のカメラセンサー(イメージセンサー)が十分確保できなかったためでもあるとしていますが、2015年9月発売のiPhone6sでは4.7インチサイズの通常型に対して5.5インチの大画面版の需要が多く、大画面版の品不足が続きました。その経験が生かされなかったようです。今では、「7Plus」はいつでも入手できますが、「7」シリーズ発売時から「7Plus」は入手困難な時期が続きました。

iPhoneだけでなく、サムスン、中国スマホも同様に5インチ以上の大画面版が売れ筋になっています。理由として考えられるのは、ユーザーがスマートフォンで新聞、雑誌、漫画、テレビ番組、映画などほとんど全ての購読、視聴活動を行うようになっていること、簡単な文章を作るなどタブレットやパソコンの代わりもある程度こなすようになっていること、特に中高年ユーザーにとっては大きい画面のほうが眼に優しいことなどです。この傾向は続くと思われます。アップルはiPad(タブレット)が売れなくなることを恐れていると思われますが、アップルの思惑がどうであれ、ユーザーの大画面嗜好は変わらないと思われます。

なお、iPhone減産は村田製作所、TDK、アルプス電気など電子部品大手の業績には大きな影響は与えないと思われます。理由は、元々この3社とも2017年1-3月期に厳しめの減産を想定していること、想定以上の円安になっていること(3社とも下期の為替前提は1ドル=100円、日東電工は1ドル=105円。1年前の2016年1-3月期は1ドル=115円だった。グラフ7参照)、中国スマホメーカーの開拓を昨年から熱心に進めてきたことなどです。

アップルの反転攻勢ありや?

アップルはそろそろ反転攻勢に転じなければなりません。このまま売れ行き不振が続けば、消費者に飽きられてブランド価値が維持できなくなってしまい、電子部品メーカーも最先端の技術と部品をアップルに対して提案しなくなるかもしれないからです。

これについては、今年秋発売と言われる新型iPhoneが焦点です。ネット上の観測の一つですが、「7s」と「8」を同時に出して、「7s」は「7」の性能向上版として従来通り液晶パネルを使いますが、最上位機種の「8」は有機ELディスプレイを搭載するという見方があります。スペックはまだ不明ですが、高機能化が続くと思われます。有機ELディスプレイの採用はサムスンが先行していますが、アップルが搭載すれば中国スマホの上位機種にも搭載するケースが出てくると思われます。

これまでのケースを見ると、新型iPhoneの設計は発売の1年前に決まり、年末から年明けにかけて部品の商談が始まる模様です。今回も村田製作所、TDK、アルプス電気が重要になると思われますが、液晶用材料だけでなく有機EL用材料も手掛ける日東電工の投資対象としての重要性が増すと思われます。

また、スマートフォン向けに比べると進捗はゆっくりしていますが、電子部品メーカーにとって中長期的に自動車が重要になっています。自動運転と電気自動車によって高級電子部品の搭載数量が増加するからです。

グラフ5 日経平均株価と電子部品株1

(2016年1月4日=100とした指数、出所:楽天証券作成)

グラフ6 日経平均株価と電子部品株2

(2016年1月4日=100とした指数、出所:楽天証券作成)

グラフ7 トヨタ自動車の為替レート

(単位:円、出所:会社資料より楽天証券作成、推定、予想は楽天証券)

4.自動車・自動車関連は円安の持続性、関税と自動運転、電気自動車がポイント

自動車はテクノロジーのかたまりである

今の自動車産業はテクノロジーの「巣」であり、技術革新の「孵化器」になっています。テクノロジー株への投資を考える際に、自動車とその関連セクター(自動車部品、車載用半導体など)を無視するわけには行きません。

自動車セクターに関しては楽天証券投資WEEKLYの

2016年10月14日号「特集:自動運転

12月22日号「2017年の自動車セクターを展望する

12月29日号「2017年の注目テーマ:電気自動車

をご覧ください。自動車・自動車関連セクターへの投資を考える上で重要なことを網羅したつもりです。

完成車メーカーにとっては為替と関税が重要

完成車メーカーの株価にとって最も重要なのは、まず円安であり、今の円安の持続性だと思われます。要するに、トヨタ自動車、富士重工業、マツダなどの完成車メーカーにとっては、何らかの問題があったとしても、円安が全てを癒すということです。逆に言えば、為替レートが円高転換したときには、ファンダメンタルズを再検討する必要があるということです。

ここで重要なのは、前述したように、1月20日に正式就任するアメリカのトランプ新大統領の政策です。まずドル円レートについてどう考えるのか。次に、保護貿易主義の具体的なあり方です。

日本メーカーにとって円安とともに重要なのは、アメリカが自動車を輸入するときの輸入関税(メキシコ→アメリカ、日本→アメリカ)がどの程度の水準になるのかということです。トランプ氏は選挙戦の中でメキシコ→アメリカの乗用車の輸入関税を現在の0%から35%に引き上げると言っていました。日本→アメリカの輸入関税も現在の2.5%から引き上げると言っていました。

実際に35%の高率関税が適用されれば、自動車メーカーに与える影響は大きくなります。アメリカ工場が北米での主たる生産拠点になっているトヨタ自動車、富士重工業、本田技研工業はアメリカ工場の増産で対応できると思われます。ただし、メキシコでの生産が多い日産自動車と、アメリカに生産拠点を持たずメキシコから小型車を、日本からSUVをアメリカに輸出しているマツダは、乗用車の価格、車種構成、輸出先を見直す必要があるでしょう。ただし、メキシコからアメリカに輸出している乗用車は、各社ともメキシコでの生産台数の一部なので、時間をかければ対応可能と思われます。

また、日本→アメリカの関税率が引き上げられたとしても10~20%程度なら完成車メーカーが耐えることが出来る範囲内ではないかと思われます。日本からアメリカに輸出している車種は価格の高いSUVや高級セダンが多いため、一定の範囲の関税率なら値上げと車種構成を一層高度化することで、ある程度ダメージを軽減することが出来る可能性があります。このときに、今の円安が続けば、対応し易くなるでしょう。

トヨタのリスク

円高転換したときには完成車メーカーのリスクが見えてくる可能性があります。為替感応度が高いことは円高時の株価上のリスクですが、1ドル=100円でも日本の完成車メーカーは赤字にはなりませんから、経営的な問題にはなりません。

ところが、円高転換した場合、日本の完成車メーカーに投資する上でのリスクが表面化する可能性があります。特にトヨタ自動車です。同社が自動運転と電気自動車に対して慎重な態度をとっていることが投資リスクになる可能性があります。

昨年、自動運転を巡って興味深い「論争」が起こりました。自動運転で先行するイスラエルのベンチャー企業「モービルアイ」、長年完全自動運転を研究開発しているグーグル(今は自動運転事業が独立して「Waymo(ウェイモ)」になった)、自動運転に熱心なフォードなどは、2020年ごろには完全事業運転を実現出来るとしています。ところが、トヨタ系列の筆頭であるデンソーはレベル4の完全自動運転は難しく実現は2025年頃になるとしています。デンソーの考え方は、公道で実験することと、多くの車が行きかう実際の多種多様な運転場面で自動運転を事故なく実現するということは違うことであり、事故の可能性がほぼない完全自動運転を実現するには時間がかかるということです。システムも、モービルアイは単眼カメラだけのシステムですが、デンソーは複眼カメラにレーダーを組み合わせます。

どちらが正しいのか、今後の各社の開発動向を見守るしかありません。ちなみに、今出てきているのはレベル3(完全自動運転だが、緊急時はドライバーが対応する)までの自動運転のほうが、完全自動運転よりも難しいという考え方です。これは一理ある考え方で、今の課題の一つは、レベル3で完全自動運転の状態にある車のドライバーが、緊急時に車の人工知能からいきなりハンドルを渡されたときに、直ちに適切な対応が取れるものなのかというものです。

これに対してレベル4の完全自動運転は最初からドライバーの存在を前提していません。このほうが開発はやり易いという意見があります(例えば、グーグルやフォードはこの意見です)。

もし、完全自動運転の実現と普及が2025年以降になるのであれば、デンソーにもトヨタにも自動運転に乗り遅れるリスクはありません。しかし、他社が先行して完全自動運転を実現して公道でも事故なく走行できる実績を作り、しかし、デンソーとトヨタは遅れているということになれば、トヨタグループの技術力への信認が揺らぐと思われます。

同じことは電気自動車についても言えます。トヨタは2020年ごろに電気自動車を発売する計画ですが、テスラモーターズは2017年に400万円台で航続距離300km以上の「モデル3」の生産を始めます。BMWなどの欧州メーカーも量産タイプの電気自動車を販売しています。トヨタ自動車は、コネクテッドカーではフォードなどと提携していますが、肝心の自動運転と電気自動車で先行しているわけではありません。

もちろん、トヨタは巨大であり、たとえ自動運転と電気自動車で遅れたとしても規模の力を使って追いつくことも可能と思われます。勝負が決まったわけではありませんが、この問題は円安の時には隠されており、円高転換した場合に顕在化する可能性があります。

自動運転と電気自動車では幅広い銘柄の中から選びたい

では、自動運転や電気自動車のテーマでは、何に投資すればよいのか。トヨタ自動車のような完成車メーカーや、デンソーのような大手自動車部品メーカーだけでなく、幅広い顧客層を持った車載用半導体メーカーや素材メーカーに投資対象を広げたいと思います。

まずルネサスエレクトロニクス。車載用半導体では世界市場で2~3位の大手です。トヨタ、デンソー以外にも日系、海外系問わず幅広い顧客層を持っています。電気自動車と自動運転車は、電子部品、半導体、モーターの固まりになります。半導体の搭載数量も傾向的に増加していくと思われます。グラフ6を見ると、昨年後半から株式市場で高く評価され始めたことがわかります。

次に電気自動車では、電池メーカーで、パナソニック、ジーエス・ユアサ コーポレーション、素材メーカーでステラ ケミファ(リチウムイオン電池の電解液と添加剤の大手メーカー)などです(詳細は、楽天証券投資WEEKLY12月29日号「2017年の注目テーマ:電気自動車」を参照)。

なお、パナソニックは、テスラモーターズと共同でリチウムイオン電池の大規模工場「ギガファクトリー」を建設していますが、このほど一部が完成し、量産を開始しました。年間生産能力は2018年に35ギガワット時(テスラ車50万台分)であり、テスラ車向けだけでなく外販も行う予定です。総投資額約50億ドル(約5,850億円)のうちパナソニックが1,500~2,000億円負担します。

完成車メーカーでは販売台数の伸びに注目したい

完成車メーカーでは、円安傾向が続く場合は、円安メリットが大きいトヨタ自動車、富士重工業と、独自の展開をするスズキを選びたいと思います。

また、今後もし円高になった場合は販売台数を伸ばす余地が大きい会社を選びたいと思います。富士重工業は昨年7月にアメリカ工場の増産投資が完了しました。それまでは、生産能力が足りず、アメリカ、日本での販売台数を伸ばせないでいましたが、昨年8月からはこの足かせが取れました。グラフ9はアメリカの新車販売台数の動きを乗用車とライトトラック(SUVとピックアップトラック)に分けて見たもの、表1はアメリカでの日系、米系各社の伸び率を見たものです。多くのメーカーが乗用車が減ってライトトラックが増えるという構図ですが、商品力の高い富士重工業は両方が伸びています。

また、スズキは、アメリカとは関係なく(北米市場から既に撤退した)、インドを中心に日本、アジア、欧州で事業展開しています。スズキとしては高価格(120~170万円)の車の販売が伸びており、これが業績に寄与しています。

マツダへの投資は、トランプ新政権の保護貿易主義がどのようなものか確認してからでも遅くないと思われます。マツダは2018年度にアメリカでZEV規制対応のために自社技術の電気自動車を開発、発売する模様です(マツダの北米戦略が現状維持できればの話です)。マツダは車作りの上手い会社なので、実際に2018年度にアメリカで電気自動車を発売できるのであれば、注目したいと思います。

なお、日産自動車、三菱自動車工業、ルノーは、電気自動車の車台を統一しようとしています。そして2018年に新型リーフを発売する予定です。

グラフ8 日経平均株価と業種別株価指数:輸送用機器

(2016年1月4日=100とした指数、出所:楽天証券作成)

グラフ9 アメリカの新車販売台数(年率換算)

(単位100万台、出所:AUTODATAより楽天証券作成)

表1 アメリカの新車販売台数:前年比

5.薬品・バイオは悪材料出尽くしとなるか

2016年後半の株式市場で振るわなかったのが薬品・バイオ株です。小野薬品工業のオプジーボの将来への高評価や、そーせいグループの相次ぐ導出のニュースなどが牽引して、薬品・バイオ株は2015年から2016年4~5月まで上昇が続きました。しかしその後はオプジーボの高額薬価批判と、制度にない値下げの可能性が出てきたこと、小野薬品を含む薬品・バイオ企業数社で臨床試験の失敗が明らかになったことなど、悪材料が続きました。また、東証上場の製薬メーカーは黒字なので業績が株価を底支えしますが、バイオベンチャーは多くが赤字であり、下がり始めると株価に底支えがなくなる場合があります。その結果、2016年後半の薬品・バイオ株は日経平均株価に対してアンダーパフォームする展開となりました。

薬品・バイオセクターのファンダメンタルズと今後の見方については、来週の本稿で書くつもりです。2018年4月の定時の薬価改定においても、オプジーボの薬価引下げが行われると思われます。薬価に対する日本政府の態度には厳しいものがあります。

ただし、厚生労働省は医薬品の薬価を決める際に費用対効果の評価を行う姿勢も示しています。薬品バイオ株の悪材料が出尽くしとなれば、一定の株価の戻りは期待できると思われます。特に、小野薬品工業の臨床試験と適用拡大の動きが注目されます。

グラフ10を見ると、2016年後半に日経平均株価の上昇に対して「業種別株価指数:医薬品」が大きく出遅れているのがわかります。もし、薬品・バイオ株が悪材料出尽くしなのであれば、銘柄を選ぶ必要はありますが、このセクターにはある程度の投資妙味があると思われます。

グラフ10 日経平均株価と業種別株価指数:医薬品

(2016年1月4日=100とした指数、出所:楽天証券作成)

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