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消化不足の米利上げ 株・為替ともトレンド出ず(窪田)
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

消化不足の米利上げ 株・為替ともトレンド出ず(窪田)

2017/6/19

執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 14日、市場予想通り、米FRBが利上げを実施。今後の金融政策について、イエレンFRB議長はタカ派トーンのメッセージを出したが、米景気指標がやや軟化しつつあることから、市場は、引き締め継続に懐疑的。
  • 今後の米金融政策の方向性が不透明なため、日経平均・ドル円とも、明確なトレンドは出なかった。日経平均は目先、2万円を中心としたボックスで推移する見込み。

(1)消化不足の米利上げ、FRBはタカ派だが市場は懐疑的

先週の日経平均は1週間で70円下がり、19,943円となりました。14日に市場予想通り、0.25%の米利上げが実施されましたが、日経平均・NYダウとも大きくは動きませんでした。

日経平均週足:2016年1月4日―2017年6月16日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

日経平均はしばらく、2万円を中心としたボックス圏で推移しそうです。米利上げ後に、円安、または、円高の、どちらかのトレンドが出る可能性もありました。しかし、結果的に、米利上げは、トレンドを出すのに十分な材料とはなりませんでした。

利上げ実施前、市場で注目されていたのは、利上げの有無ではありませんでした。利上げはほぼ確実と見られていました。注目されていたのは、ここで利上げ打ち止め感が出るか、あるいは、さらに利上げがどんどん進むと見られるかでした。結果的には、どちらだか、わかりにくい状況となりました。

米FRBは、タカ派(金融引き締めに積極的)姿勢を示したと言えます。ところが、米景気指標がやや軟化しているため、市場は、引き締め継続が可能か、懐疑的でした。

(2)イエレン米FRB議長はタカ派姿勢を示す

FOMC(米金融政策決定会合)メンバー17名による将来のFF金利予測(中央値)によると、今年、あと1回(0.25%の)利上げが見込まれています。それだけでは、利上げに一旦打ち止め感が出る可能性もありました。

今回、タカ派姿勢ととれるのは、米FRBが、保有資産(米国債)の縮小方針まで示したことです。イエレンFRB議長は、早ければ9月にも保有資産の縮小を開始する可能性を示唆しました。

これまで、米FRBが利上げを続けても、短期金利が上がるだけで、長期金利は上がってきませんでした。

米長短金利の動き:2016年末―2017年6月16日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

米FRBが大量の米国債を保有したままである(保有している米国債が償還されたら同額の国債を買い付け、国債保有額が変わらないようにしている)ことが、米長期金利が上がりにくい理由と考えられています。米FRBが、米国債の保有額を減らす(保有している国債が償還されても、償還額より少ない金額の米国債しか購入しない)と、米長期金利に上昇圧力が働く可能性もあります。

米政策金利(FF金利)の推移:2000年12月―2017年6月

(注:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

(3)米インフレ率が低下、市場は金融引き締め継続が可能か懐疑的

米利上げ実施後も、短期金利だけ上がり、長期金利は2.2%前後で大きく動いていません。イエレンFRB議長はタカ派ととれる発言をしたものの、当日発表された米CPI(消費者物価指数)上昇率が低下下したこと、最近発表される米景気指標がやや軟化していることから、市場は、FRBが示した金融引き締めが実行可能か、懐疑的と言えます。

米CPI(消費者物価指数)上昇率(前年比):2010年6月―2017年5月

(注:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

CPIはエネルギー・食品を除くコア指数と、すべて含む総合指数が発表されています。総合指数は、原油価格が乱高下することによって、大きく変動していますが、コア指数は相対的に安定しています。

金融政策を決める上で重視されているのは、コア指数の方です。米FRBは、コア指数で安定的に2%以上になることを、目指しています。2017年5月は、コア指数が2%を下回ったことが注目されました。米景気がやや減速し、インフレ率も低下してきていることから、金融引き締め継続が、難しくなると考えられました。

(4)ドル円は、低調な米景気指標を見て円高が進んだ後、タカ派トーンのFRBに反応して円安に

ドル円為替レートの動き:2016年11月1日―2017年6月16日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

上のグラフを見ると、昨年11月以降、ドル円為替の動きには、三つの山(青矢印をつけた所)があることがわかります。昨年12月と、今年3月のところにつけた山は、まさに米利上げが実施されたタイミングです。利上げを織り込んで、ドル高(円安)が進み、利上げ実施後は、ドル安(円高)に転じていることがわかります。

ドル円チャートの、三つ目の山(2017年5月)を見てください。これは、6月14日の利上げ確率が9割以上となったところでつけた山です。つまり、金融市場では、ここで利上げが織り込み済みとなったわけです。それ以降、ドル安(円高)が進んでいます。

これは、為替市場が、14日に利上げが実施されることも、その後、利上げ打ち止め感が出ることも、両方とも先に織り込んでいることを示していると、考えられます。

実際には、利上げに打ち止め感が出たわけではありません。米FRBはタカ派トーンのメッセージを出しました。ところが、市場は懐疑的です。どちらつかずの宙ぶらりんの状態となったままなので、為替も明確な方向感なしのままとなりました。

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