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これだけは知っておきたい・相続対策の定番「養子縁組」の効果と注意点(その1)
足立 武志
個人投資家なら誰もが知っておきたい 「相続」の基礎知識
誰もがいつかは経験する相続。相続をスムーズに進め、効果的な相続対策を実行するために最低限知っておきたい知識や情報を厳選して解説。公認会計士・税理士かつ個人投資家だからこそお伝えで…

これだけは知っておきたい・相続対策の定番「養子縁組」の効果と注意点(その1)

2016/12/16
相続対策として定番の1つである「養子縁組」。様々なプラスの効果をもたらす半面、取り扱いを誤ると争いの大きな原因になったりします。今回と次回で、最低限知っておきたい内容を取り上げていきます。今回は主にメリットについてです。
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相続対策として定番の1つである「養子縁組」。様々なプラスの効果をもたらす半面、取り扱いを誤ると争いの大きな原因になったりします。今回と次回で、最低限知っておきたい内容を取り上げていきます。今回は主にメリットについてです。

「養子縁組」とはなにか

「養子縁組」とは、養子と養親(養子縁組における養子の義理の親)との間に親子関係を設けることを言います。

養子縁組には、「特別養子縁組」と「普通養子縁組」の2つがあります。特別養子縁組とは、戸籍上実子(実の子ども)と実親(実の親)との関係を断ち切り、養親が養子を実子として迎え入れることを言います。普通養子縁組とは、実子と実親との関係は引き続き維持したまま、新たに養親との親子関係も持つという形態です。

普通養子縁組をした場合、養子からみれば、養親の相続人にもなりますし、実親の相続人にもなります。

通常、相続対策として用いられるのは「普通養子縁組」です。そこで、本コラムでは特に断りのない限り、養子縁組は「普通養子縁組」のことを指すという前提で話を進めていきます。

「養子縁組」の効果(法律面)

民法の面からみた養子縁組の最大の効果は、養子を「法定相続人」にすることができるという点です。

よくあるのが、娘婿や孫を養子に迎え入れるというものです。自分自身に子どもがいる場合、子どもは相続人になりますが、子どもの配偶者や、孫は相続人になりません。

相続人でない人に対しては、遺言書において遺贈をするか、死因贈与をしない限りは、遺産を相続させることはできません。でも、養子にしておけば、相続人として扱われることになりますから、遺産分割協議に参加して遺産を相続することもできますし、遺留分も確保することができます。

また、自身に配偶者も子どももいない場合、兄弟姉妹が相続人になりますが、財産を兄弟姉妹ではなく他の親族などに渡したい、というときも養子縁組が有効になります。養子は子として扱われるため、相続人が兄弟姉妹ではなく養子に切り替わるからです。

民法と相続税法のルールの混同に注意

なお、非常に多いのが、「養子は1人までしか入れることができない」という勘違いです。これは、相続税の計算上、相続人としてカウントできる養子の数が、実子のある場合は1人まで(実子のない場合は2人まで)というルールが頭にあるからだと思われます。

でも、民法上は、養子の人数には制限はなく、何人迎え入れても構いません。「1人まで」というのは、あくまで相続税計算上のルールに過ぎませんので注意してください。

また、被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人や、被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属(子供や孫)は、相続税の計算上、制限なく相続人の数に加えることができます。

このあたりの仕組みは、やや複雑ですので、疑問な点があれば専門家に相談することをお勧めします。

「養子縁組」の効果(税法面)

相続税の計算上、「養子縁組」をすることでいくつかのメリットがあります。例えば、相続人が増えるため基礎控除額が増加します。

ただし、民法上は何人でも養子を設けることができますが、それでは税法上いくらでも節税ができてしまいます。そこで相続税の計算上は、実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までと、養子の数に制限を設けています。

でも、養子が1人増えるだけで、基礎控除額が600万円増加します。さらには、生命保険金の非課税枠500万円と、死亡退職金の非課税枠500万円も加えると、最大で1,600万円の相続財産圧縮効果があります。

さらには、相続税の計算の仕組み上、相続人の数が多い方が税額は安くなりますから、養子縁組をすることにより相続税額を減らすことにつながります。

養子縁組により減少するのは相続税額だけではない

例えば、財産額2億円、相続人が子ども3人の場合と、養子を1人迎え入れて子ども4人になった場合を比較してみましょう。

  • 相続人が子ども3人の場合:約2,460万円
  • 相続人が子ども4人の場合:約2,120万円

このように、養子を1人設けることにより、相続税が340万円少なくなります。

相続税の面からは、例え1人でも養子を設けることによる効果は大きなものになりますが、メリットは相続税だけにとどまりません。詳細は割愛しますが、贈与における各種特例も、養子縁組することで使用可能になります。相続登記を行う際も、養子縁組をしておいた方が登録免許税が大きく軽減できたり、不動産取得税が無税になったりします。土地を多く所有している方にとっては、かなりのメリットになります。

「孫養子」の税務上のメリットと注意点

相続対策で非常によく用いられるのが、孫を養子にすることです。これを一般に「孫養子(まごようし)」と呼びます。

通常、祖父母から孫に財産を相続するまでには、祖父母世代と親世代の2世代の相続を経る必要があります。しかし、特に資産家にとっては相続税の税率は非常に高いですから、相続を2代経ることで、孫に引き継ぐことのできる財産がかなり目減りしてしまいます。

しかし、「孫養子」を設けることで、孫も相続人になりますから、1回の相続で孫に財産を受け継がせることができます。ただし、相続税の計算上、1つ注意すべき点があります。孫養子の場合、相続税額が2割アップするという点です。

相続税が2割アップになっても孫養子にして1回の相続で財産を渡す方が税金面で有利なのかどうか、公認会計士・税理士にシミュレーションしてもらったうえで判断するようにしてください。

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