経済政策

経済政策の主な政策として、財政政策と金融政策があります。

これらの要因は、半年から数年単位で相場の方向付けをする重要な要因です。

相場の中期的な流れを読む上で、その国の財政政策や金融政策がどのような方向に向かっているかは、常にチェックする必要があります。そして、政策転換をする時に相場が大きく動きます。アベノミクスによる大規模金融緩和の導入は、政策変化であり、ドル円は20円の円安になりました。

財政政策は、財政の拡大、縮小によって景気の拡大、後退を政府がコントロールする政策です。しかし、やり過ぎると市場の信認を失い、その国の通貨は売られることになります。2013年には米国の債務上限が問題となり、あわや米国がデフォルトという事態の直前まで協議が難航しました。政府機関は停止となり、自由の女神やスミソ二アン博物館などが休館となったというニュースが流れていたのを覚えておられる方も多いと思います。もし、デフォルトになっていたら、長期にわたってドル売り地合いが続く結果となったでしょう。今後、再び同じ事態が起こった場合は、ドル売りとなることは覚えておく必要があります。

金融政策は、為替市場を見るうえで米国の金融政策が最も重要な事項になります。

米国金融緩和→ドル売り、株高、債券高(金利安)、商品高

米国金融引締→ドル高、株安、債券安(金利高)、商品安

現在最も注目度の高い要因です。米国は、リーマンショックの後、景気回復のために3回にわたって大規模な金融緩和をやりました。この結果、ドル売りの流れとなりました。しかし、2013年の夏場あたりから、FRBはこの金融緩和の規模を縮小するニュアンスを市場に与えました。金融緩和を縮小しても、金融緩和は継続ですが、大規模な金融緩和を行っていたため、金融緩和縮小は米国金融政策の一大転換と市場は見ました。この結果、ドル買いの流れとなり、新興国の通貨と株が急落しました。

その後、FRB議長の交代(バーナンキ→イエレン)をはさみ、2014年に入ってから段階的な緩和縮小を開始しました。今後は次の転換点として利上げの時期に焦点が移っていき、米国の金融政策の動きに引き続き留意する必要があります。

ファンダメンタルズ

財政政策と金融政策によって、経済環境が変わってきます。これらの経済環境変化は、毎月もしくは四半期毎に発表される経済指標に反映され、為替市場は、これらの発表の都度、相場が動きます。為替市場ではドルが中心の市場であるため米国の経済指標が最も注目されます。これらの経済指標はファンダメンタルズと呼ばれています。言い換えますと、ファンダメンタルズとは、一国の経済状態を安定させるための基礎的条件、すなわち、経済成長率、物価上昇率、失業率、国際収支等々です。為替相場を予測する上で、これら指標の意味合いを知っておくことは非常に重要です。個別に指標を見ていきます。

経済成長率(GDP)

成長率は最も重要な指標です。現在のマーケットでは、米国の雇用統計が注目されていますが、経済が成長しているのが前提となっているためです。もし、景気が後退し、GDPの成長率が低下してくると、一気に注目は成長率に移ります。マイナスの成長率の国では雇用も伸びず、失業率も上昇してきます。成長率は四半期毎に発表されるため、毎月発表される雇用統計に目が向くということもあります。GDPと為替との因果関係は、米国の例では、

米国GDPの上昇→金利の上昇→ドル高

米国GDPの下落→金利の下落→ドル安

金利が上昇すると株が下がりますが、経済が成長しているため企業業績も成長していくと期待が高まると株も上昇します。また、GDPが下落すると株が下がりますが、景気に刺激を与えるためFRBが金融を緩和する、との期待が盛り上がると株が上昇する場合もあります。この場合、為替はどうでしょうか。最初の動きとしては、金融緩和→ドル安です。しかし、株が予想以上に上昇するとドル高になる場合もあるので注意が必要です。その時の相場環境を見て判断するしかありません。

失業率(雇用統計)

米国の雇用統計が、現在では、最も注目されている指標です。米国の金融政策は、雇用環境を見て判断するとFRBが宣言しているため注目されています。失業率が低下しても新規の雇用が伸びないと金融引締めには至りません。一般的に3か月平均で20万人近くの雇用増となる事が重要な分岐点と言われております。

米国雇用統計は、通常、毎月第一金曜日に発表されます。