空売りを実行すべき局面とは

 空売りを実行すべき局面は大きく分けて2つ。1つは上で述べたように、下降トレンドの相場で積極的に利益を得るために空売りを仕掛ける局面です。もう1つは、現物での保有株の一時的な下落による含み益減少ないしは損失を回避するための「ツナギ売り」です。

 なお、どちらのケースでも株価が下降トレンドのときに空売りを実行するのが大前提です。上昇トレンドでは株価は上昇、下降トレンドでは株価は下落します。株価の上昇が見込まれる場面で空売りすることはありえません。信用買いと同様、空売りの場合も株価の流れに逆らった「逆張り」は禁物です。

 株価が上昇トレンドから下降トレンドに転換して間もない段階で空売りを仕掛けることができればベストですが、売られすぎの局面など大きく下げた後の時点で新規に実行するといった無理のある空売りをしない限りは、損切り価格さえ決めていれば下降トレンドにある限りいつ新規に空売りを仕掛けても問題ありません。

短期トレンドの変動に応じて新規実行と返済を繰り返す

 株価は上昇するときは短期間で急速に駆け上がることも多いですが、下落するときは長期間ダラダラと下げ続けるものです。したがって、信用買いの場合は株価が急騰したら2~3日で手仕舞いしてしまうこともよくありますが、空売りの場合はよほど大きな急落でもない限り、短期的な下降トレンド(日足チャート+25日移動平均線で判断。以下同様)が続く限りは維持します。

 本当なら、中長期的な下降トレンド(中期は週足チャート+13週移動平均線、長期は月足チャート+12カ月移動平均線で判断。以下同様)にあるならば空売りをそのままいつまでも続けていてよいのですが、空売りにも6カ月の期日(制度信用)があります。

 したがって、具体的には中長期チャートが下降トレンドかつ短期チャートが下降トレンドとなったら空売りを実行し、短期チャートの下降トレンドが終了したら買い戻す、という作業を繰り返すことになります。その上で、騰落レシオや移動平均線からの下方かい離率、信用評価損益率などからみて売られすぎと思われる局面では利食いを優先させるようにします。

 なお、中長期チャートが上昇トレンドの場合は、短期チャートが下降トレンドになったとしても空売りはうまくいかないことも多いです。よって買いをメインに考えた方がよいでしょう。