世界最大の年金基金GPIFも投資を検討、トランプ勝利で跳ね上がるビットコイン価格
米大統領選挙においてトランプ前大統領が勝利したことを受け、株式や債券、為替をはじめとするマーケットが今後どのように動いていくのかさまざまな臆測が飛び交っている。減税や規制緩和に対する期待の高まりもあり、株式市場は選挙直後に急騰した。
S&P500CFD(日足)
ドル/円(日足)
トランプトレードで一番大きく動いているのがビットコインだ。ビットコイン価格は9万ドルを突破した。トランプの勝利とFRB(米連邦準備制度理事会)による金利の引き下げはビットコイン市場にとっては強気の材料となったようだ。
トランプは、金融、暗号資産(仮想通貨)業界などの規制緩和も重要視している。トランプを支えたテスラのイーロン・マスクがトランプ政権入りしたことも追い風になるだろう。
ビットコイン/ドル(週足)
ビットコイン/円(週足)
著名投資家のポール・チューダー・ジョーンズは10月22日、米CNBCの番組に出演し、「米国の政府支出の増加と減税の見通しから、FRBが目標としている2%(現在:2.4%ほど)の達成は劇的な政策変更がない限りは事実上不可能だ」と指摘、「米国はインフレを起こし、債務負担を成長で乗り越える必要がある」と述べた。
ジョーンズは、「(米国は)支出問題に真剣に取り組まない限り、すぐに破産するだろう」と述べるとともに、「全ての道はインフレに通じる」として、BTC(ビットコイン)と金を含むコモディティをロング、ナスダックのバスケットを保有する一方、利回りのある金融商品からは離れるよう推奨した。
ジョーンズが指摘するように、投資家がインフレ対策としてビットコインを投資ポートフォリオに取り入れようとする動きがまだ小さな波ではあるものの、確実に世界に広まりつつある。
10月29日、米フロリダ州のジミー・パトロニスCFO(最高財務責任者)は通貨インフレのヘッジとして、また中央銀行デジタル通貨に対する防壁として、州管理委員会にビットコイン投資を検討するよう要請した。パトロニス氏は約2,050億ドルの運用資産を持つフロリダ州の年金基金を監督する責任者の一人である。
書簡によるとパトロニスは、州職員の購買力を維持するために利益を最大化する責任を強調、「ビットコインはデジタルゴールドと呼ばれており、州のポートフォリオの分散化と主要資産クラスのボラティリティに対するヘッジとして機能するだろう」と述べた。また、すでにビットコインや他のデジタル資産への投資を検討している州があることにも触れた。
持続不可能なまでに増え続ける負債、そして崩壊しつつある軍事力は、帝国の終焉(しゅうえん)を招く完璧なレシピである。
そしてまさに今、米国が置かれている状況だ。繁栄する帝国には非常に強力で効率的な経済、堅実な通貨、そして管理された一定レベルの負債が必要となる。しかし、米国には今、こうした条件が備わっていない。
ビットコイン財務会社と呼ばれるマイクロストラテジーの会長であるマイケル・セイラーは、「ビットコインは何十年も保有できる資本投資だ。企業や競合他社、取引相手、国があなたから奪うことはできない。そのため、あなたの家族、企業、国のために世代を超えた富を生み出せる。世界中のどこでも、いつでも、いくらででも清算ができるし、積極的な運用や商才がなくても、いくらでも保有ができる」
「お金を稼ぐために人生の4万時間を費やすなら、それを維持する方法を考えるのに100時間を費やす価値はある」と述べ、近々、420億ドルの資金でビットコインを買い増す予定だ。
マイクロストラテジー(週足)
われわれは負債とインフレが超指数関数的に増加する時代の始まりに立っている。指数関数的に増え続ける現在の負債を推定すると、2036年には米国の連邦負債は100兆ドルに達するとみられる。100兆ドルの負債は、高いインフレとデフォルトのリスクを意味し、はるかに高い金利につながる。3~4%の利回りでは誰もリスクの高い米国債を保有しようとはしないだろう。
「2025年の債務上限問題」と題されたYouTubeの動画で、リン・オールデンは2025年に最も強気な資産はビットコインだと述べている。
今年3月、世界最大の公的年金基金である日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用資産の一部をビットコインに配分することを検討していることを明らかにした。
GPIFは「経済や社会の大きな変動、急速な技術の進展に対応し、長期的な視野から基本ポートフォリオに係る理論と革新的な運用戦略を調査研究するため」と説明、具体例としてゴールドや農地、森林、そしてビットコインを挙げた。